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「＿＿＿という訳でして…」
「…父に縁切る宣言して来た、と」
「別にそういう訳じゃないです！」
父と縁を切るつもりはない。
ただあの時はかっとなって…ああ言ってしまったが。
一応あれでも、母が亡くなってから育ててくれていたのはあの人だし。
ただ父として見る必要性を感じなくなったというか…
「親父さんはプロヒーローなんだっけか？」
「はい…父も兄も」
父は割と有名なヒーローで、兄はそんなに。
兄は父の個性を強く遺伝し、私の個性は母からの遺伝を強く受けていた。
個性のせいもあるのだろうか、父側あたしに興味を示さないのは…
「私がお母さんの個性を引き継いだからでしょうか…」
「…」
「別に、お父さんに興味を持って欲しい訳じゃないんです。
ただ…自分を認めてくれる人が欲しいだけなのかもしれません」
兄がいるけれど、兄弟からの褒め言葉と親からもらう褒め言葉では重みが違う。
兄は昔からよく褒められていたのに…と、つい思ってしまう。
「いるだろ、親以上にお前を認めてくれる人が」
「…」
「クラスの奴らはどうした？お前を責めたことが一度でもあったか？」
「…ないです」
私がどれだけ怪我しようと、失敗しようと…
みんなは私のことを責めたことはなかった。
第一に心配、第二に安堵。
「クラスの奴らだけじゃない。先生方だって生徒のことを認めてるさ。
なんてったってお前らはヒーローの卵だからな。
先生が認めなくて誰が認めるってんだ」
相澤先生の言う通りだ。
私はヒーローの卵。
誰に何を言われようと…
あの雄英高校の先生にも認められた、立派な生徒なんだ。
「…なんか元気でました」
「なら早よ観客席に戻れ。
そもそもここ生徒が立ち入っていい場所じゃないんだぞ…」
でも先生は快く入れてくれたよね。
と言う言葉はグッと堪えつつ、クスクスと笑う。
なんだか安心したしスッキリした気分だ。
「みんなのところに行って来ます！
あーあ…もう一回戦終わっちゃった…みんなに結果聞いてこよ〜…」
そうぶつくさ言いながら実況室の扉を開け、外に出た。
なんだか外の空気がさっきよりも爽やかで気持ちがいい。
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作者名：豆腐 | 作成日時：2021年11月25日 19時
