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まただ。
またあの夢だ。
入学前日に見た、あの夢。
いつもの風景、いつもの日常。
そこに、私だけがいない。
＿＿＿＿＿
＿＿＿
＿
「起きましたか？」
気がつけば
はぁはぁ、と肩で小刻みに呼吸していた。
ここは＿＿
「ここは病院ですわ」
「…百、ちゃん」
「Aさん…あなたは何故そうやって無茶ばかり…」
病院、と百ちゃんが言った通り、嗅ぎ慣れない薬品の匂いが充満した部屋。
そんな中、百ちゃんが手に持っている花から爽やかな香りが漂ってくる。
その雰囲気に先ほどよりも少し落ち着きを取り戻せたみたいだ。
起き上がろうとすると腕を激しい痛みが襲った。
「まだ寝ててください。
Aさんの体力のことも考えながら
病院の方がゆっくり治療をしてくださっているんですのよ」
「なるほど…」
百ちゃんはため息を吐きながらベッドサイドにある小さな棚に
手に持っていた花瓶を置き、私の怪我をしていない方の手を取り、見つめた。
今回ばかりは、さすがに怒らせてしまっただろうか。
「…あの、ごめ＿＿」
「よかったです…」
え、と間抜けな声が出た。
怒鳴られる前に謝ろうと思って口を開けば
手を握っている百ちゃんの手が震えている。
「も、百ちゃん？」
「Aさん、３日も目を覚さなかったんですのよ。
わたくしが、どれだけ心配したか…もう、目を覚さないんじゃないか、って…」
3日も…？
ただ腕を怪我しただけなのに3日も寝てたの私。
百ちゃん、本気で私のこと心配してくれてたんだ。
でも、それなら尚更叱って欲しかったな。
いつまでもその百ちゃんの優しさに甘えてしまいそうになる。
「みんなは…相澤先生は、無事？」
「…皆さんはお怪我もほとんどなかったです。
相澤先生は…ひどい怪我でした。もしかしたら後遺症が残るかも、とおっしゃってましたわ」
「そっか…」
プロヒーローにとって後遺症は痛いものだろう。
これからの活動にも支障をきたしてしまうんじゃないだろうか。
「…」
私が相澤先生の集中を削ぐような行為をしたから、なのかな。
もし私があそこでなにも手出ししなかったら…
「Aさん、相澤先生から伝言を預かってますの」
「え？」
「今回俺が怪我したことに対して負い目を負ってるかもしれんが、
断言しよう。お前のせいではない。全て俺の責任だ、
と…Aさんが起きたら伝えるよう頼まれていましたの」
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作者名：豆腐 | 作成日時：2021年11月25日 19時
