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人差し指にとまっている蝶からジジ、とノイズが聞こえる。
行けそう…かな。
「飯田くん、飯田くん。聞こえる？」
『その声は…蝶首くんか？』
よし、行けた。
伝達機能を組み込んだ蝶の生成訓練していてよかった。
「よかった。聞こえるなら今の状況を伝えるね。
今敵のワープ個性によっていろんな場所に飛ばれたの。
私は今轟くんと一緒にいる。他のみんなも何人かのグループに分かれて飛ばされてるみたい」
『なるほど…他の人たちの安全は』
「今私の個性で確認してるところよ。
ただ見た感じだけど尾白くんが1人で火災ゾーンにいて少し危険かもしれない…
あと、青山くんと葉隠さんが見当たらないの」
蝶で何度確認してもその2人の居場所が確認できなかった。
葉隠さんは服を脱いで隠れている可能性があるものの、青山くんは…
まぁへそビームでなんだかんだ逃げ切っているのかもしれない。
『…ん…、…Aちゃん！』
「その声…お茶子ちゃん？」
『飯田くんと交代したの。今飯田くんが他の先生を呼びに走ってくれてるんよ』
「そっか…」
ここから最初の位置までの距離…
ふと辺りを見渡すと、最初の場所からそう離れていないことに気がついた。
その近くでは未だ相澤先生が多数の敵と戦っている。
手助けしたいけど…私が行っても戦えないし、足手纏いになるだけだ。
「…お茶子ちゃん、一旦切るね」
『え？あ、うん…気をつけてな！』
そう言ってお茶子ちゃんたちとの通信を切った。
いろんなところに向かわせていた蝶を収集し、一度体内に戻す。
そうすることで傷口が塞がる仕組みになっているからだ。
「おい、大丈夫か」
「大丈夫よ」
「とは言っても、お前顔が真っ青だぞ」
個性を使いすぎな自覚はある。
でもそれ以上に、私が今動かないでなにができるんだ、という思いの方が強かった。
「まだ大丈夫よ。今こんな状況だし…ゆっくりなんてできないでしょ」
そう言って先ほどよりも深く傷をつける。
多数の小さな蝶じゃなくて、一つの大きな蝶をイメージする。
「…っ、」
傷口が多少痛むものの先ほどの蝶よりも丈夫で大きい蝶が生成できた。
「大丈夫じゃないだろ」
「ちょっときつい、けどこれでさっきよりも確実に性能はアップしてる」
大きい蝶を相澤先生の少し後ろの方まで飛ばす。
私の手元には先ほどと同じ小さな蝶を指に。
「…相澤先生、聞こえますか！」
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作者名：豆腐 | 作成日時：2021年11月25日 19時
