【ヒロアカ】首を掻っ切れ (ページ2)

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「Aさん」

いつも通り通学路をとぼとぼと歩いていると
ふと後ろから誰かに肩を触られる感覚。

振り返ると中学時代からの友人、八百万百がいた。

「百ちゃん。おはよう」
「おはようございます。やっぱり雄英の制服、似合ってますわ！」

じっ、と上から下まで見て百ちゃんはそう言った。
中学２年の時にこの地域に転校した私の、初めての友人が百ちゃんだった。
まさか高校でクラスまで一緒になるとは思わなかったけれど。

中学で進路に悩んでいた時期から、百ちゃんはずっと
「Aさんの個性なら絶対に受かりますわ！」と雄英高校ヒーロー科を勧めてくれていた。

私の母が殉職した関係で、ヒーローになるつもりはなかったが…
「何より…わたくしAさんと離れ離れになりたくないんです。
　まだAさんと一緒にいたいといいますか…」
と照れながら言う百ちゃんの可愛さに負けた。

高校へ行ったからといって友人関係がなくなるわけでもないのに
今生の別れのように深刻な顔をして言う百ちゃんは正直面白かったけれど。

しかもその頃、百ちゃんは推薦が確定しており
私が受かりさえすれば確実に同じクラスになれるという確信があったのだ。
だから私も、雄英高校を受けた。
運動も′好きだしね、ヒーローの卵になるのも悪くないよね。

「…Aさん、ぼーっとなさってますが…」
「え？あっ、大丈夫！なんかまだ、実感なくて」

運動神経はまだしも、頭がそこまで良くない。
まぁテストの点数はともかく実技試験で注目してもらえてよかった。
実技試験のおかげで合格できたと言っても過言ではないだろう。

「ふふ。楽しみですわ、雄英高校」
「そうだね、あっ。あと…今年もよろしくね、百ちゃん」
「…！はい、こちらこそ！」

喜んでる百ちゃん、ぷりぷりしてて可愛い。
私が良くないことをしたらちゃんと叱ってくれて、
誰よりも私のことを理解してくれている百ちゃんが、私は大好きだよ。