ぎゅってして、好きって言って【狗巻棘】

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「んー、外の空気も気持ちいい！少し肌寒いけど」


棘「すじこ？」


「あ、いやいや！いらないよ！棘くんが着てて！」









寒いと言うと、自分の着ている上着を脱いで私に渡そうとしてくれる。




こういうちょっとした気遣いや優しさが好きなんだよなぁと改めて惚れ直す。




ほんと好きだなぁ。









「……」









ここで言うのがベストタイミングだと思った。
次いつ棘くんとゆっくり話せるかも分からないから。




ふんふん、と軽く鼻歌を歌いながら私の1歩先を歩く棘くんの背中に向けて、意を決して名前を呼ぶ。









「棘くん！」


棘「ツナマヨ？」


「あ、あ、あの」









足を止めて私が追いつくと、
同じ歩幅で歩いてくれる。




こういうところも、全部が好きなの。





綺麗な顔も、
綺麗な声も、
優しいとこも、




子どもっぽくて無邪気な一面があるとこも、
大事な時は真剣になるとこも、




不貞腐れた顔も、
照れた顔も、








全部全部が大好きなんだ。








寒さと緊張で手が震える。









「……え？」


棘『 だめ？ 』









不意に繋がれた、手と手。





こっちを見る棘くんは、
寒さで少し目を潤ませながら微笑む。





顔も耳も真っ赤にして。





そんな顔で、
だめ？なんて…反則だよ…









「だめじゃないよ？」









拒否する理由なんて、ある訳ないじゃんか。







本当は、ここでデートの誘いをする予定だった。









だけど…









触れる体温。


ばくばくとうるさいくらいになる心臓。









棘くんに対しての好きという気持ちが爆発して、









「好き、です…棘くん」









気がつけばそう言っていた。

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