ぎゅってして、好きって言って【狗巻棘】

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棘くんと教室へ向かってる時、私の頭の中では五条先生が言っていたことが気にかかっていた。






″ 呪言によって人を不本意に呪ってしまった経験があって、それから人と接することをなるべく避けるようにしていたみたい ″







棘くんはきっと、心細かったんじゃないかな。
だって、私分かるもん。



真希ちゃんやパンダくんと接してる棘くんを見れば分かる。



棘くんは、ほんとはいい人でみんなのことが大好きなんだって。







私も、その中の1人にいつかなれたらいいな。









「棘くん」


棘「ツナ？」


「私ね、棘くんのことすごく尊敬してるよ。
棘くんの呪言はめちゃくちゃ強くてかっこいい！
なのにそれを極力使わないようにしてるところも」









棘くんは突然なんだというようにきょとんとしている。






そのまま棘くんの傍へいき、棘くんの口元を隠しているネックをゆっくりと下へおろす。









「綺麗な模様だね、隠してるのが勿体ないくらい」


棘「あ…」


「あのね。



私には、
鬱陶しかったら動くなって言ってくれていいし
寂しくなったらこっちきてって言ってほしいな。




棘くんは自分の思うままに私と接してほしいの。




私は呪言師である棘くんが大好きだから」









教室でそっけない態度をとっている裏で、



倒れた私を必死に保健室へ運んでくれたこと。



保健室で寝ている私の様子をわざわざ見に来てくれたこと。







棘くんの優しいところ、
ちゃんと分かってるんだから。









棘「しゃけ…こんぶ！…すじこ」


「え？え？」


棘『 ありがとう 』


「っ！！！」









目を細めて笑う棘くん。
口元も全て見えていて、
やっと棘くんの素顔を見れた気がした。








無理だ…好きすぎる…
思わぬ攻撃をくらい、その場にしゃがみ込んだ。

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