ぎゅってして、好きって言って【狗巻棘】

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棘「…こんぶ？」









少しの沈黙の後、
先に声を発したのは棘くんだった。





だけど、何を言っているのかは分からない。





初めてきた際に、棘くんの術式のことは真希ちゃんから聞いていた。






人を不本意に呪わないように意味の存在しないおにぎりの具で会話をしていること。






一緒にいる期間の長い真希ちゃんやパンダくんは棘くんの言っていることが理解出来てるようだった。






私はまだ、それが出来ない。







棘くんもまた、理解してもらえないことに気づいているようで…何だかもどかしそうな表情をしている。









「ごめんね、理解できなくて」


棘「しゃけ」


「あのね、今日のこと、お礼言いたくて…」









棘くんは目をぱちぱちとさせた。









「実は、花裏さんから聞いてて…
棘くんがここまで私を運んでくれたこと。
…ほんとにありがとう」


棘「………す、すじこ」









俯いたままそう言って、
棘くんが返事をしたと同時に顔を上げると、









「…え？」









目の前にいたのは、顔を真っ赤にする棘くん。



ぱっちりと目が合うと、棘くんは口元を隠すネックを更に上げて目から下の顔全部を隠している。






え？…え？






困惑する私を見て、棘くんが何やら携帯に文字を打ち始めた。






顔の前に差し出された画面に映る文字を読む。









″俺だって気づかれたくなかったから恥ずかしい″









「〜〜っ！？！？」








棘くんが、照れてる！？
うそ、うそ。



教室ではそっけない態度をとっていたのに、









「〜〜うう、好き、…」


棘「…ツナマヨ！？」









無理。
可愛さのあまり好きが溢れてしまう。









「も、もう行っていいよ！」









布団を思いっきり被って、反対方向を向いて寝る。



うるさいくらいに鳴る心臓。



きっと赤くなっているはずの顔を見られたくなかった。

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