待って、なんて煽んないで【狗巻棘】

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″今日お泊まりしませんか！″
我ながらよく言えたと思う。




即行動に移ってしまった自分自身が1番驚いている。




思いきって言ってみなよ、
そうアドバイスをくれた野薔薇ちゃん。
実は今日、洋服以外にもいつかのお泊まりのためにと部屋着を買ってしまっていた。




自分でもまさかこんなにすぐに実行に移してしまうとは思っていなかったため、




現在いつもなら帰るはずの時間に棘くんが自分の部屋にいるということが違和感でしかない。




もちろん、言った直後棘くんはそれはもう面食らった顔をしていた。




それもそうだよね、
だって2人きりになるのを避けられていたんだから。




だけどもう逃げない。
ちゃんと向き合って理由を聞こうと思う。




買い物を終えて1度棘くんと別れてからご飯とお風呂を済ませていたらピンポン、とチャイムが鳴った。









「変じゃない、よね」









鏡の前に立って、買ったばかりの部屋着を着てから最終チェックをする。



普段は誰にも会わないし寝るだけだからと適当にジャージを着ていただけに、こういった女の子らしい部屋着を着るのはやっぱり慣れない。




思っていた時間より早かったためドライヤーをするのに間に合わず、とりあえず出なきゃいけないからとタオルを肩にかけてから玄関を開けた。









「ど、どうぞ！」


棘「しゃけ、」









どくん、どくん。






さっきまで見ていたはずなのに改めて棘くんの顔を前にすると、うるさいくらいに鳴り出す心臓。




お風呂上がりだからか身体がぽかぽかしている。




意識しすぎないことを意識しよう、と考えてからあれ？それってどういうことだと頭を抱える。




考えていると余計に意識してしまい、ツナマヨ、と声をかけられて「ひゃい！」なんて変な声が出てしまった。

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