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心情 貴女side ページ5

片目を包帯でぐるぐる巻きされベッドなるものに寝かされた私は明日育手の元へ行く天元さんを問い質すべくキ、と睨んだ

「何故あの人に嫁が4人などと伝えたんですか?」

私はただの従姉妹だ…3年後彼の元へ嫁いだ3人のあの方達の元に子供(男児)が生まれなかった場合の別腹みたいなものだ。
私はそういう時のための保険だ。それまではただひたすらに任務を熟す駒だった。

天「…そっちの方が面倒じゃねぇだろ。まきをだって元は俺の親戚だしよ…」

気まづい顔を浮かべ目を逸らす彼はぽり、と頬をかく。確かにまきをさんは親戚筋ではあるけど私ほど近くはない。寧ろ従姉妹だとバレた時に妻だと言いはった事に咎められないだろうかと眉間に皺を寄せた。

天「派手でいいだろ?」

私の心情を知ってか知らずかにか、と彼が笑い私は重いため息を吐き出す
それでも私が黙っていると天元さんはすぅ、と目を暗くさせ

天「アイツらにはお前がしたことは言ってねぇ。それでなしにしろ」

ひゅ、と息を飲む。そうだ、この人は知っていたのだ


彼の寝所に父からの命令で兄妹がこぞって奇襲をかけに来た時私が彼らを…


惨 殺したことを


遺体は処理して当時は雛鶴さんしか来ていなかったが彼女にも隠蔽し隠し通してきたのだ
いくら忍びとはいえ家族で殺し合うなど狂気の沙汰だ。彼女らには知られたくなかった

怯えながらもそれでも接してくれようとする優しい彼女たちに嫌われたくなかった


「どの呼吸の育手のとこに行かれるのです?」

丁寧に話題を変えると彼の目に光が戻る。それでいいと言わんばかりに。

天「なるべく派手なところでって頼んだら二刀流の育手は居ねぇけど雷の呼吸を学んだらどうだって言われたわ。継承されてねぇんだと。地味なら別ンとこ行くけどな」

「そうですか」

天「お前は?」

「まだ分かりません。どうせもう暫くここから抜け出せないので色々見ようと思います」

ふぅん、と頷きじゃあなとなんの未練もなく去る彼に嵐がすぎたような心地になる

「悲鳴嶼殿は目が見えないみたいだし何とか役に立てるといいんだけど」

片目には既に慣れてしまって退屈だし訓練室のような場所があるらしいから明日そこに行ってみよう。呼吸を使ってる人がいるかもしれない。

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作者名:セラ | 作成日時:2021年4月27日 12時

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