腐敗国家の、大将軍（11-6） ページ49
死屍累々となった兵士たちを飛び越えて、先頭を突っ切るﾀﾗﾁｵさんの後に続いて無数の廊下のうちの一つへと駆け抜ける。
床のカーペットが途切れ、つやつやに磨かれた大理石の床に滑りそうになって、自然とみんなの足もゆっくりになる。
どうもこんにちは、とりっぴぃです。
この廊下は城の中に無数にあるどの廊下とも違う雰囲気。
白一色の四角い空間は、窓から差し込む昼間の光で眩しいくらいだ。
「ここは〈天下の間〉に繋がる唯一の通路だ。罠だらけだから気をつけろ」
「うそぉ……そういう事は初めに言うてやチオニキぃ……」
思い出したように後ろに続く俺らに向かってとんでもないことを平然と伝えるﾀﾗﾁｵさん。
それにうぇぇと顔を歪めて涙目になるなな湖さん。
たしかにもう少し早くに言って欲しかった……
「それってどんな罠があるけ？」
つるつるの床に手こずりながらも懸命にﾀﾗﾁｵさんの後を追う非戦闘員代表、にどみさんがすかさず問いかける。
「さぁ？」
「さぁ？ってなんだよさぁ？って！！」
「タッチンもわかんないのぉーーー！？！？」
しかし返事は非情だった。
「俺にもよくわからん」と言いたげに、無表情で首を振るﾀﾗﾁｵさんに、ツッコミ気質を存分に発揮するズズくんと、わいわいと騒ぎ立てるこいろちゃん。
「まぁそうだろうね。せんたんはﾀﾗﾁｵが裏切る未来を『視てた』はずだから、後で裏切る相手に情報は渡さないでしょ」
いつ罠が襲ってきてもいいように、手のひらに薄紫色の〈障壁〉の素を作りながら、警戒態勢のバケゆかが淡々と呟く。
〈未来視〉。バケゆかの推測に身震いする。
ﾀﾗﾁｵさんがいうには、奴はたったの3日で王都の政権を握り、実質的皇帝の立場についたわけである。
さて、そんな相手にたった11人で勝てるのだろうか。
一歩、踏み出したところで体が硬直する。
爪先が震える。意識せずに呼吸が止まる。
不安。恐怖。焦燥。疑心。さまざまなモノが俺の足に歪に絡みついてきて、俺の心を強く揺さぶった。
それは、誰の目にも留まらないくらい一瞬のことだったかもしれない。
でも、確かに俺は、恐怖におののいて、一歩踏み出すのを躊躇した。
「とりっぴぃ」
背後から肩を叩かれて、金縛りが解ける。
おそるおそる振り向けば、そこには優しい目線で俺に微笑みかける愛の戦士。
「頑張ろうぜ」
ただの激励かもしれない。決意宣言かもしれない。
でも、それは、確かに。
恐怖に囚われた俺の心を、強く引っ張り上げたのだ。
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あんぴーなっつ(プロフ) - かおりのさん» コメントありがとうございます！琵琶ちゃぷの話はかなり気合入れたので、感動していただけて嬉しいです！閲覧ありがとうございました(*´ω`*) (2019年9月15日 22時) (
レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
かおりの - めっちゃ面白いです!琵琶ちゃぷの所すごい泣けました！全然ゆっくりでいいので更新頑張って下さい！ (2019年9月14日 22時) (レス) id: a7a49677e4 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - ネコさん» コメントありがとうございます！楽しく読んでいただけて私も嬉しいです！閲覧ありがとうございました(^ω^) (2019年7月16日 16時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ - 毎回ストーリーにドキドキしちゃってます！www更新頑張ってください！ (2019年7月15日 21時) (レス) id: ab4778a323 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - すぷらさん» わっ！コメントありがとうございます！mzmn界隈で見たことのある方から感想いただけて嬉しいです！これからも頑張ります(*´ω`*) (2019年5月27日 14時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんぴーなっつ x他1人 | 作成日時：2019年3月18日 17時
