腐敗国家の、大将軍（11-1） ページ44
剣と魔法が飛び交うこの世界の中心地、王都。
その中でも一際目立つ巨大な白銀に輝く城は王都の中央部に位置して、その膝元に発達した城下町を抱えている。
かつてーー約4週間前には人々の笑顔と活気に溢れた商店街は、今はどこか人々の足取りも重く、どんよりとした空気に満ちていた。
その街道を大慌てで走り行く1人の兵士が、城の頂上にたなびく国家を見据えた。
「早く……早く、将軍に伝えなくてはッ！」
少尉級の軍服を翻して、兵士は将軍の居座る王宮へと足を早めた。
＊
王宮までたどり着いた少尉級の兵士は、警備兵に将軍の位置を訪ね、それを聞くと敬礼をして王宮の中へと入り込む。
広大な土地にどっしりと構える王宮の内部は、とても複雑で広い。
すれ違う上官達に敬礼をしつつ、元あったダンスホールを改装した〈天下の間〉を目指した。
〈天下の間〉へは一本の道で繋がっている。
しかしこの回廊には厳重な警備システムが敷かれ、その気になれば上級の〈騎士〉も〈魔術師〉も殺すことができるという恐ろしいトラップがいくつも張り巡らせている。
今は作動していないが、もしこれが迎撃用に起動されれば……ひとたまりもないだろう。
〈天下の間〉につながる扉の前に立ち、数回ノックする。
「どうぞ〜」
中から間延びした声が返事をした。
その声とは裏腹にひどく緊張した面持ちで兵士はドアノブに手をかけた。
おそるおそる扉を押し開いて、真っ暗な部屋へと入る。
「失礼します」
まだ暗すぎてよく見えない中、たしかにそこにいるという重圧を感じる。
この元の見る影もなく改装されてしまったダンスホールに設置されたら玉座に、その人は座っているのだろう。
暗闇の中でもくっきりとよく見える、深緑の虹彩と血のように赤い瞳孔ーー将軍様だ。
「で？何の用？」
興味も薄そうに拳銃の手入れか何かをしながらそう問いかける、大将軍。
兵士は真剣な表情で敬礼をしながら将軍へ向けて情報の報告を始める。
「はっ。先日、ﾀﾗﾁｵ大佐が裏切ったようです」
「うん。知ってるけど？」
「……は？」
しかし、それは平然とした将軍によるさらなる爆弾投下により掻き消されてしまう。
「君さぁ、僕がなんの〈能力〉を持っているか忘れたわけ？」
「い、いえ。作用のことは」
「だめだねぇ、僕に情報提供したいならせめて事が起こる1週間前に報告しなきゃ」
玉座から立ち上がった将軍が、
「僕には全てが『視える』んだから！」
ーー先端恐怖症が、不敵に笑った。
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あんぴーなっつ(プロフ) - かおりのさん» コメントありがとうございます！琵琶ちゃぷの話はかなり気合入れたので、感動していただけて嬉しいです！閲覧ありがとうございました(*´ω`*) (2019年9月15日 22時) (
レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
かおりの - めっちゃ面白いです!琵琶ちゃぷの所すごい泣けました！全然ゆっくりでいいので更新頑張って下さい！ (2019年9月14日 22時) (レス) id: a7a49677e4 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - ネコさん» コメントありがとうございます！楽しく読んでいただけて私も嬉しいです！閲覧ありがとうございました(^ω^) (2019年7月16日 16時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ - 毎回ストーリーにドキドキしちゃってます！www更新頑張ってください！ (2019年7月15日 21時) (レス) id: ab4778a323 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - すぷらさん» わっ！コメントありがとうございます！mzmn界隈で見たことのある方から感想いただけて嬉しいです！これからも頑張ります(*´ω`*) (2019年5月27日 14時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんぴーなっつ x他1人 | 作成日時：2019年3月18日 17時
