重なる想いと記憶の残響(4-3) ページ36
頭の中がぐちゃぐちゃとかき混ざって、逸る気持ちがさらに脳内をかき乱す。
どうしよう、どうすれば。
このままにらみ合っていても状況は改善しない。
考えろ。考えろ。俺が考えなきゃ、こいろちゃんは一生正気を失ったままだ。
その時、加速しすぎた思考回路にふと脳裏に過去の映像がよぎった。
『あれは氷柱からさらに氷柱を生やして距離稼いでただけだ。直接凍らせられるのは手足で触れた部分だけだよ』
頭の中がすぅーっと腫れていくような感覚に思わず背筋がぞくぞくと震える。
ようやく勝利のビジョンが見えてきたかも。
俺がにんまりとほくそ笑んだとき、バケゆかの〈障壁〉を警戒するように睨みつけていたこいろちゃんが、不意に大きく口を開けた。
《ア゛ーーーーーーーーーーーー!!!!》
「うっ!?」
本日二度めの超音波。
バケゆかの〈障壁〉のおかげで耳鳴りもうるささも感じないが、万物を遮断する薄紫の結界の内側でもかなりの衝撃波が俺たちを襲う。
俺たちを守る範囲以外の森の木々が次々となぎ倒されていく。
ヤバい、シャレにならないが、このまま放っておくと森が消える。
衝撃波が和らいだ瞬間を狙って、ちょっとズレたヘッドホンをしっかりと付け直して、意識をみんなに集中させる。
多分こいろちゃんの武器はあの大声だ。
それ以外はただの5歳児に違いない。
ならば捕獲は簡単に終わるはず!
まずは、一手。
《バケゆか!俺たちの〈障壁〉を解いて、こいろちゃんを囲むように張りなおせるか!?》
《了解!》
「ふっ!」
バケゆかが両手を翳しながら、素早く俺たちを守る結界を崩しこいろちゃんを囲むように張り直す。
一方中に閉じ込められたこいろちゃんはきょろきょろと辺りを見回した後、焦ったように薄紫の結界を叩き始める。
何も超音波から俺たちを守らなくても、音源そのものを囲って仕舞えばいいのだ。
二手。
《とりっぴぃ、バケゆかに合わせてパチンコでこいろちゃんをビビらせて!》
《わかった!》
とりっぴぃが、懐から出したパチンコを構えると、バケゆかと示し合わせて、同時に動く。
バケゆかの〈障壁〉があればこいろちゃんは拘束できないし、とりなん先生の氷も超音波で割られてしまう。
なら、〈障壁〉を解除した瞬間こいろちゃんに攻撃される前に怯ませて、その隙に拘束してしまおう。
バケゆかの半透明なバリアが解除された瞬間に大きく息を吸うこいろちゃん。
それを阻止するのは、顔のすぐ横を飛んで行ったとりっぴぃのパチンコ弾。
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あんぴーなっつ(プロフ) - 空屋さん» コメントありがとうございます!この話のバケゆかさんなら快く守ってくれると思いますよ笑閲覧ありがとうございました! (2019年3月17日 13時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
空屋(プロフ) - この作品ものすごく好きです!バケりんに守られてぇ…! (2019年3月13日 4時) (レス) id: 8e09062377 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - もるさん» コメントありがとうございます!お褒めにあずかり光栄です……!あんまりガンガン更新はできないのですが、完結目指して頑張ります! (2019年1月30日 18時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
もる(プロフ) - 作風とか設定がしっかりしてて大好きです!混ぜメンのキャラにどれも合っててどのメンバーも好きになっちゃいます 更新大変だとは思いますが、頑張ってください応援しています(^○^) (2019年1月28日 18時) (レス) id: 14f50223ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あんぴーなっつ x他1人 | 作成日時:2018年9月16日 20時