日向と木陰 (大学生Ver.)14

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そんな慧がバイトを卒業した日から2日経って、林曰く愛深める旅に慧と出掛けた。

「この間は木の露天風呂だったけどさ、今日はなんか陶器みたいなやつなんだね。……これって本当に肌触れ合いっぱなし……もう、ゆーとってば、こんなとこ選ぶなんて！」
バシバシと、電車で2人がけの席に横並びに座った俺の肩を慧が叩く。
……だから痛いんだけど……。

俺が肩を押さえたいのを我慢しているのに気付かないで慧がご機嫌に、
「俺、運転するゆーとが大好きだけど、こうやってのんびり2人で話しながら旅するのもいいね。」
そう言ってそっと俺の手を握ってくる。

前の席も後ろの席も同じ方向を向いてるから誰にも見られない事をいいのにさらに慧が、
「………たまにキス、したり？なんて！もう！ゆーとってば！」
有頂天でそう言うから、俺、何も言ってない……と遠い目をする俺。

そんな慧に、
「伊野尾さん、絶好調だね。けど今それだけはしゃいで夜にご飯の時にお酒ちょっと呑んだらすぐに寝ちゃうんじゃないの？」
やんわりと釘を刺すと、
「まさかぁ！寝たりしないよ！……何でって？……ゆーとが、大好きだから……。んっ、キス！」
慧がちゅっと俺にキスしてくる。

可愛いし嬉しいんだけどこの色々解放された感はどこか危うい。

よし、どうしても夜に起きてもらわなきゃと俺が、
「ね、手を離して慧の髪撫でたいんだけど、いい？」
そうお願いするとぱっと手を離して、
「………いいよ？優しく、してね……。」
なんて妙な色気を見せてくるからはうっとなるけど、負けじと優しく髪を撫でて掬う。
するとしばらくしてぽやぽやと眠そうな顔になる慧に、
「少し眠ったら？肩貸すよ？」
トドメでそう言うとこてっと俺の肩に頭をもたれさせてきた。

しばらくして聞こえてくる寝息に良かった、これで夜は確約された……と俺もそんな慧の頭にこてっと頭を預けて眠った。

高校生の時みたいだなと、なんだか幸せな気持ちになりながら。

……そして迫り来る肌触れ合いっぱなしの夜を思いながらにやにやもしながら。

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