日向と木陰 (大学生Ver.)13

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そんなバイトの帰り道、日は落ちてもまだまだ暑い、夏特有のもやもやとした空気の中で、
「慧ってば何でこんなにモテるんだろうねぇ、彼氏は心配だろうなぁ。」
俺が他人事みたいに慧と繋いだ手をぶらぶらと揺らすと、
「……めっちゃ他人事じゃん！……ゆーと、俺は怒った！あーあ、俺の彼氏って誰なのかなぁ！？」
慧がぶすっとしてさらにぶんぶんと繋いだ手を揺らした。

俺がふっと笑って、
「いやぁ伊野尾さんの彼氏かぁ。…………この上なく幸せで、でも大変だよきっと。普通の男が天使みたいに可愛くて優しい子を恋人にするんだから。……ずっと好きでいてくれるかなって、側にいてくれるかなって不安だろうね。」

慧が揺する手を止める。

「俺なんかより他の誰かの方が幸せに出来るとは思うんだ。けど、好きだから離したくなくて、その思いだけで縛ってしまってる。………ごめんね、自由にしてあげられない。俺、慧を手放せない。」


愛してるよ。


夏の夜道にポトリと落ちる言葉。


切なくて、胸が痛い。

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