日向と木陰 (大学生Ver.)13

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それからますます秋が深まって、慧の家の近所の公園で散歩がてら2人で紅葉を眺めている時だった。

「いい季節だね。夜は寒くなってきたけど昼間はまだ暖かいし、行楽シーズンだなぁ。」
俺が黄色や赤に染まった葉っぱを見上げながら言うと、
「そうだね。もう少し寒くなったら温泉もいいなぁ。ね、また行きたいね、温泉！」
慧がにこにこと笑って隣を歩く俺に言うから、
「そうだね。また旅行に行きたいね。………旅行？」
そこまで言ってある事に気付いた。

「………あー！卒業旅行、忘れてた！！」

俺は叫んで立ち止まる。
そうだよ、すっかり忘れてた！

「ここ最近卒論に手間取ってるし、4月からの事考えたりしてたからすっかり忘れてた。……慧、どこか行きたい所ある？今から考えるよ！」
慌てる俺に、
「別にそんな卒業旅行にこだわらなくてもいいと思うけど……。お互い無事に卒論終わってから、それこそ大学生活お疲れ様って感じでサクッと温泉行ってもいいし。」
微笑みながら慧が続けて、
「……4月から色々大変だろうから、今はあんまり無駄遣いしない方がいいんじゃない？」
なんて言ってくれる。

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