日向と木陰 (大学生Ver.)11

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初めて入ったホテルは備え付けの物もいつもと違ってて、何か変な羽織るやつだったー……と、バスローブが外れだったと慧が文句を言っている。

しかし今、俺はそれどころじゃなかった。


自らサラリーマン的な感じでと、スペシャル甘々な展開を予感させた俺に慧からの車内での期待が半端なく、怖くなってそのままUターンして家に帰ろうかと思った程だ。


隣の助手席での、ゆーとって俺をときめかせる天才だなとか、………俺、今夜どうなっちゃうの……？とかの呟きに耐えながら運転した俺、偉過ぎる………。

と、自分で自分を褒めていると、

「上がったよー！」

元気いっぱいのTシャツと下着を履いたお風呂上がりの慧に声をかけられて、もう上がったんかい！と変な方言で動揺しながら心の中でツッコむ俺。


「………じゃあ入ってくるね……。」

逃げられない……と諦めてお風呂に入りに行こうとすると慧が、
「あ、だめだめ！ゆーとはそのままで！」
慌てて慧が俺の腕を引っ張って止めて俺を上目遣いで見上げて、

「………お帰りなさい………。えっと………食べて？」
もうサラリーマン設定に入っているらしく首をコテッと傾けて頬を赤くして、恥ずかしさから言葉少なに超ド級の古典的なお誘いをしてくる。


……これが甘痛いってやつかっ……！
甘い、けど愛し合ってなかったらけっこう痛いやつ……けど愛し合ってたら中毒性の高いやめられないやつ……っ！！

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