日向と木陰 (大学生Ver.)11

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それからもう少しだけ波の音を聞いて、また手を繋いでぶらぶらと車へと戻る。
その間中、行きと違って慧が楽しそうに色々話してくれるのが嬉しかった。


「ねーねー、ゆーとのそれってさ、癖？シャツの袖まくるの。……腕まくり、かっこいいね。」
とちょっと照れながら慧が言ってくれるから、
「いや、単に暑いから……そういえばサラリーマン呑み会の時もそんな事言ってたっけ？腕まくりした俺の腕で抱きしめて壊して欲しい、みたいな。」

いやぁ、あの時の慧は色っぽくてよかったなぁとしみじみと思い出していると、
「……な、な、な、なんでそんな恥ずかしい事を思い出すんだよっ………！！」
慧が真っ赤になって怒ってくるから、
「えー、だって事実だもん。おねだり、可愛くて色っぽかったよ？」
俺が普通の顔して答えると、
「し、信じられないっ！ゆーとのばか！……俺、先に戻る！！」
慧がそう言って繋いでいた手をぱっと離して歩き出そうとした。……けれど。

なぜか思いとどまった様に立ち止まって、じっと離した俺の手を見てからそっとまた繋ぎ直して、

「………やっぱり、一緒にいる。」

それから俺の顔を見上げて、

「………好きだもん。」

少し口を尖らせて言った。



………っあ、っあ、甘酸っぱぁ〜い！！
え？初恋なの？初恋の何エピソードなの、これ！？

思わず胸がキュンっ……とする俺………って、俺が甘酸っぱい気持ちにさせられてどうするんだって話………！！

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