日向と木陰 (大学生Ver.)6 (ページ22)

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それから2人で働き出して、俺はやる気に満ちていた。
そうだ、俺は男として慧との関係を守るんだ！と。
そしてはきはき動く俺とは正反対に何故かミスを連発する慧。

オーダーされたものを間違ったテーブルに運んだり、レジ作業に戸惑ったり。
新人みたいだった。

「……大丈夫？ちょっと休憩してきたら？」
声をかけると大丈夫、気にしないでの一点張り。
どうしたものかと思っていると閉店間際だけどまたお客様が来店して来たので、
「いらっしゃいませ。」
と声掛けするとなんと林だった。

林！？と思いながら出迎えると、
「ちょっと様子見にな。……伊野尾は？」
そう言って奥のテーブルにサーブする慧を見つけて手を振る。
慧は林に気付いて嬉しそうな顔をして寄ってきた。
「林、どうしたの？あ、俺が案内してあげる！」
急に元気になって林を空いてるテーブルに連れて行く。

一体何で来たんだろうなと思っていると林からオーダーをとった慧が難しそうな顔をして俺の所まで来て、
「コーヒーと俺とゆーとを注文された。」

コーヒーと、俺と慧？

どういう事？と思いながら林を見ると目が合ってこっちにこいよと手招きされる。

「………お客様、あの、注文ですが……。」
「お前たち、やっぱり何かあっただろ？」
俺の言葉に被せる様に林がムスッとして言う。
「本当は店に入るつもりなかったんだ。けど外から様子見てたら伊野尾が信じられないくらいにガチガチでミスしてて。……お前は何も無いって言ってたけど嘘だって分かってた。それで来たんだけど、伊野尾があんな風なのは見過ごせねぇ。」

慧がガチガチ？

その時がちゃーんっと大きな音がして振り向くと慧が下げた食器をトレイから落としていた。

「すみません！大きな音出して……っ！」
真っ青な顔で割れた食器を拾おうとする慧に駆け寄って、
「触らないで！……慧は奥で休んでて。」
俺が制すると震えながらも言う通りにしてくれた。

片付けて、林を見る。
………早く話がしたかった。