日向と木陰 (大学生Ver.)6 (ページ18)

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えっ………と固まる俺に、
「俺、もともと週2か週3位しかバイト入ってなかっただろ？それにこうやってテスト前は休ませてもらえる様な環境なら、無理して続ける必要ないんじゃないかって両親に言われたんだ。」
悲しそうな顔を俯かせて慧がぽつぽつと話す。
「社会勉強なら去年1年間充分しただろうし、お小遣いもきちんとあげてるから今は将来の事だけを考えなさいって………。」

そんな事を言わて、返す言葉もなかったんだろう。
俺だって何て言い返していいか分からない。

慧には建築に関わる仕事がしたいというはっきりとした目標がある。
ご両親は多分、心配されたんだろう。
けど….……。

俺と慧が高校から大学が別々になっても仲良くやってこれたのは慧がバイトを一緒にしようって言ってくれたからだ。
例えばその案が出なくて遠恋みたいになっていたとしても、俺が慧の事を好きな事に変わりはない。
けど会えないよりはやっぱり会えた方がいい。
だから一緒にバイト出来てどれだけ幸せか分からないんだ。

「ゆーと、俺、嫌だ。辞めたくない。」
慧の瞳から涙が溢れそうになる。

適当な事は言えない。
だって俺たちはまだ自分で自分を養えない。