日向と木陰 (大学生Ver.)6 (ページ17)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:7,504 hit

(17) ページ17

梅雨もぼちぼち明けるなぁと掃除が終わってから空を仰いでいると、
「……ゆーと、久しぶり。」
声をかけられる。
大好きな声。

「慧？？」
俺が声のする方を向くと慧が立っていた。

「ちょっとだけ息抜きに本屋寄るついでにゆーとの顔見ようと思って。……なんて、本当は逆。ゆーとの顔見るために本屋に寄ろうと思って。」

久しぶりに見た慧は眩しかった。

抱き寄せたいけど、今は無理で。

「奢るよ。寄ってく？」
端的に伝えると、
「顔、見たかっただけだから。」
そう、とほうきを握りしめて、
「テスト終わったら遊ぼうね。……って、毎日電話で言ってるね。ごめん。」
俺が毎晩電話で同じ事を言ってるのにまだ顔を見てしつこく言う事に謝ると、
「何度でも誘って欲しい。嬉しいから。……ゆーと、あのね……。」
慧が言いにくそうに言葉を濁す。
「どうしたの？」
心配になって聞くと、
「………バイト、辞めなきゃいけないかもしれない。」
そう言って慧が目をうるました。