日向と木陰 3

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前と同じ様なシチュエーションなのにえらい違いだと呆然としていると、行こうと慧に引っ張られて歩き出す。
「ホントゆーとって、あれだな………俺、ゆーとの事……。」
そこまで言ってから遠くでキャーっ！という叫び声が聞こえる。

2人で顔を見合わせてさっきまで慧がいた場所へ戻る。
慧に告白した子がうずくまって座り込んでいた。
「大丈夫！？どうしたの？？」
俺が声をかけると、
「………分かんないっ……。俯いて泣いてたら誰かに突き飛ばされて………。」
泣きじゃくる彼女の肩を撫でてどこか怪我はない？と聞くと、
「……うん、大丈夫。ありがと……。」
「良かった。一応保健の先生に見てもらおう。歩ける？」
やっと顔を上げた彼女が立ち上がる。
「中島くん、優しいんだね。」
「そんな事ないよ。」
本当にそんな事ない。君の失恋を祈ってたんだから。
でも全く知らない彼女はぽーっとした顔で俺を見て、
「ね、ラインの交換しない？私、中島くんの事もっと知りたいかも。」
変わり身、早っ！
慧が厳しい目で俺を見てる。

「ごめんね、俺、好きで好きで好きで好きで、622回好きって言っても足りない位にどうしようもなく好きな人がいるから。でもありがとう。」

慧が笑いを堪えている。
女の子は悲しそうな顔をしたけど、とりあえず一緒に保健の先生の所まで連れて行った。


女の子を送った後に慧が、
「さっきの嬉しかった。」
「622回？」
俺がそう言うと頷いてから、
「ゆーと、今日はもう俺から離れないで。……嫌な予感がするから。」
静かだけど強い意志が感じられる慧の横顔。
「分かった。」
慧の雰囲気に飲み込まれてそう答えたけど、内心は出世した事と食べられてしまった事でふわふわしてしまっていた。

だって恋してるんだから仕方ないじゃない？
でも、そんな呑気な俺に慧の嫌な予感は的中した。

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