日向と木陰 3

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全員になじられたのは言うまでもない。
いい加減にしろよ！伊野尾が可愛いのは当たり前だろ！？ふざけんなよ！……などなど。
はぁー、馬鹿馬鹿しい、もう寝よ、と電気を消して各々布団にくるまる。

慧は静かになってからゴソゴソと俺の布団の中に手を入れてきて、
「………手、繋いで？」
情けないところを見せちゃったから躊躇うと、
「可愛いゆーとも好き。ね、繋いで？」
なぜか目がぱっちり開いていてそれはそれで美人過ぎる。
さっきとは違った色気がすごい。

誘われるままに布団の中で慧の手を握る。
慧は途端に大きな目を細めて微笑んで、
「今日は一日中ゆーとと一緒にいてすごく楽しかった。やっぱり優しくてかっこよくて面白くて、ちょっと怖がりなところも可愛くて。」
皆んなに聞こえない様に小さな声でそんな事を言ってくれる。そして、
「……ゆーとに落とされる日も、近いかも……。」
なんて最後の一言に、
「………っ、えええええええーっ！！」
思わず叫ぶ。

そしてまた部屋中パニックに。
の後の、またまた霊とは関係ありませんという俺の謝罪。
勘弁してくれよと文句を言われまくった。

けど、そんな事はどうでもいい。
落ち着いてから慧と布団の中でまた内緒で手を繋ぐ。
「……慧、さっきの本当？俺に落とされる日も近いって……。」
「…………かも、ね。」
そう言ってふっと笑って、おやすみと目を閉じる慧。

『かも』、かぁ………。
まだ完全には俺の気持ちに応える事が出来ないって思ってるんだな。
でも、大きな一歩だよな、これは。
明日、明後日とまた一歩でも進めば落とせるかも。
…………まぁ、後退する可能性も充分あるけど。

柔らかい慧の手を握りながら、慧からの思ってもない発言に微笑んだり、慧につきまとう男の事を考えて渋い顔をしたり。
どっちみち胸が熱くて眠れない。


明日は寝不足だな。
慧の可愛い寝顔を見ながらとりあえず目をつぶった。

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