日向と木陰 2

(16) ページ16

委員会が終わってまた緊張が増してきた。
でもそんな事は表には出さずに笑って、
「じゃあご飯食べに行こっか？」
「うん、お腹空いた〜。」
疲れたように慧がぐったりしている。
「この間迷惑かけたし、奢るよ。」
俺の言葉に途端に元気になって、
「マジで！？やったぁ！……ローストビーフ丼かな、海鮮丼かな………いや、もっと何か上をいくものがあるはず……！」
委員会とはうって変わって真剣な慧に、
「………払える範囲でね……。」
一応忠告する。
食いしん坊、可愛くないな……。


2人で街を歩きながら、
「学校以外でいるの初めてだ、そういえば。」
慧が暑そうにふぅ、と息を吐いて言う。
「そうだね。初めてだね。」
これが最後かもしれないけど。
「ゆーとの私服見たいなぁ。すっごいお洒落そう。」
見せる機会無さそう。

………ダメだダメだ、振られる事前提なのは。

「ここがいい！俺、ここのハンバーガー好きなんだ。」
慧がチェーン店だけど美味しいハンバーガーのお店の前で立ち止まる。
まぁハンバーガーのお店にしては割と高い方だけど。
「ご飯ものじゃなくていいの？」
「いいの、トマトもおっきいの一枚入ってるし。」
気を遣われてるなぁ、でも優しいなとますます好きになっていると、
「いっぱいサイド頼もっと！普段は頼まないからスープとかも頼んじゃおっかなぁ。あ、俺朝ごはん食べる暇無かったから2個はイケる！……食べきれなかったらお待ち帰りできるかな？」
「…………常識の範囲内でね？」
この食いしん坊め！と思うけど、自由気ままな慧に少し緊張がほぐれる。

(17)→←(15)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す