恋しくて 3

新しい日々 ページ25

「しばらくは日本にいる時は事務所になる所で寝泊まりしてるんだ。」


2人でカフェでお茶を飲んでいる時に中島はそう言った。
まだアメリカでの生活が色々片付いていないらしい。
ふーんと思いながら、
「でもそんなので体休まるの？大丈夫？」
体調を心配する俺にすっかり無精髭を剃った中島がご機嫌で、
「優しいなぁ、伊野尾さんは。……キスしてもいい？」
「だめ。それより今、何か思いつきそうだから少し黙って。」
少し拗ねる中島をよそに、思いつきそうになった事が何かを考える。

……………そうだ！閃いた！

「中島、少し待ってて。」

確かあそこのビルの地下にあったはず。
そこを目指して少し早く歩いていく。


無事にそれを手に入れた俺は中島が待つカフェに戻った。
「伊野尾さん、どうしたの急に？」
心配する中島に、椅子に座ってとりあえず水を飲む。
昔、中島もこんな気持ちだったんだろうか？
要らないって言われたらどうしよう。

少し不安になりながら、
「中島、これ………。」
俺が渡したのは小さな鍵で。

中島が何の鍵？貰ってもいいの？と言いながら受け取る。

「落ち着くまでは日本にいる時は俺の家に来て？事務所よりは落ち着くと思うから。」
鍵の正体は俺のマンションの合鍵。


みるみる笑顔になる中島にホッとする。
嬉しそう。良かった。


でもだからってカフェでキスはやめてね？

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