甘くて痛い。 2 (ページ8)

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それからどこに行こうかと話しながらあてもなく歩いていると突然、
「そういえば俺、ここから遠くないと思うから、大きい観覧車乗りたいかも。」
思い出した様に言う征に、
「観覧車？別にいいけど、でも大阪にもあるだろ？」
俺は多分あそこの観覧車だよなと、髙木と裕翔といのちゃんと旅行に行った場所にある観覧車を思い浮かべながら、その時は乗らなかったんだよなと思い出してると、
「大阪には大貴がおらんもん。俺、大貴と乗りたい！」
素直な声と笑顔で言われた。

ちっきしょう、征、なんかずるいぞ！

俺が俺にしては男っぽい声で、
「征、正直に言って？今までそのかっこいい顔と甘い声で、何人の女の子と観覧車に乗ってきた？で、メロメロにしたんだ？」
わざと怒った風に聞くと、すぐに俺の耳元に征が唇を寄せて、
「……大貴のためにとっておいたよ。」
ぼそっと呟いてから、
「初めてや、好きな子と観覧車乗るん！」
俺を口説く征。
どきどきして、でも嘘つけと、
「嘘つく子とはデートここまでだから。」
ぷんっとそっぽを向くと、
「ほんまやって！あ、頂上まで行ったら怖がる子、多いから気にせんと大貴も怖がって俺に抱きついてな？」
しれっと言う征に、
「ばかやろう！やっぱ乗ってるんじゃねぇか！じゃ、デートはここまでで！」
ばいばいと手を振る俺のその手を征がガシッと掴んで、
「嘘！ほんまに初めてやから！」
そう言ってそのまま歩き出す。

俺と手を、繋いだまま。