日向と木陰 (試しの読み切りver.2)

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温泉から上がって、美味しいご飯と美味しいお酒に話も弾んで、もう一度温泉に入ってから三組敷かれた布団の真ん中に俺が素早く寝転んだ。
「おい、中島、伊野尾が真ん中じゃねぇのかよ？」
文句を言う林に、
「林、悪い事言わないからやめといた方が良い。慧の隣で慧の寝顔を見て、無事でいれると思う？」
俺が真剣に言うと、
「おやすみ、中島、伊野尾。」
すぐに俺の横の布団に入る賢い林。

さすがさんざん高校の頃に慧からの可愛い攻撃で被弾しただけあると安らかな気持ちで俺が目を閉じると、
「俺、ゆーとが大好き！……「き」、だよ？ゆーと。」
これまた懐かしいしりとりをしてくる慧に目を閉じたまま、
「きっとじゃなくこの世で1番俺、慧が大好き。……はい、林。」
繋げると、
「きっとどころこか嫁さんの次に伊野尾が好きだぜ、はい、伊野尾。」
林も繋げてくるから、
「ぜ………全員、この3人でずっと仲良くしてよう。約束だよ？」
慧の言葉に、相変わらず不器用なしりとりに、胸が熱くなる。


社会人になって結婚してそれぞれ家庭を持って、守るものも困難な事も増えた。
だけどそれが幸せだって、それもちゃんと分かってる。

でも、それでもただの誰かに恋する自分でいたい。
そしてこうやってそれを分かってくれる親友と、お互いまだ恋してるんだって言い合いたい。

学校に行けば毎日会える約束があったあの頃みたいに。

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