��-16 ページ30
「俺も初めて自分で料理をしたときは大失敗したし、魔法が使えるようになってからは横着もしていたよ」
夜食にと作っているスープの味を見ながら、ジャミルは続けた。
「けれどもやはり、例え時間がかかったとしても
料理は手間暇かけてようやく出来るものなんだ。
魔法ばかりに頼ってみても、本当に納得のいく味を作れた試しがないからな、俺は」
____ほら、出来たぞ。
そう言ってよそってもらったスープを飲むと、ガチガチに緊張しきっていた全身から、ようやく力が抜けるような気がした。
「温まりますね。すごく美味しい」
湯気で曇った眼鏡を拭き、
ふう、と息をつくA。
それを見て昔の自分を思い出したのか、ジャミルは遠い目で天井を見上げている。
「お前を見ていると、なんだか少し前の自分を見て
いるような気分になるよ」
思いがけない言葉だが、落ち着きを取り戻したAはそこまで驚かずに相手の顔を見た。
それに気付いたジャミルも、顎をあげたままチラリとAを見る。
目が合った。その瞬間、息を呑んだのはジャミルの方だった。
レンズの奥の、銀色とも水色とも言い切れぬ、紫がかっているような淡い光を湛える瞳。
まるで氷みたいだ。____しかし、そこに冷たさは感じない。
儚く、脆い。そして、
時に美しく、時に残酷に凍てつくような……そんな瞳。
翳りはあれど、強く照らせば眩く輝く。
ダイヤの原石のような、そんな瞳。
____こんなにも強く、誰かに惹かれてしまうとは。
ジャミルは心の中で苦笑した。これは賭けてみるしかないな、と。
Episode �� 承 〜気になるあの人〜 完
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 172人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ﾜﾋﾞｯﾁ(プロフ) - 藍の華さん» 神作者だなんてそんな！まだまだ生きてください！そして完結するまで、この駄作にお付き合いくださいませ！！ありがとうございます！！！ (2021年1月31日 21時) (
レス) id: 3bacfd04fc (このIDを非表示/違反報告)
藍の華(プロフ) - ﾜﾋﾞｯﾁさん» きゃああああ!へ、返信してもらえたアアア!神作者様に!明日は命日←続編行くんですね!頑張ってください！これからも応援してます! (2021年1月31日 20時) (レス) id: b8ec5b9c75 (このIDを非表示/違反報告)
ﾜﾋﾞｯﾁ(プロフ) - 藍の華さん» うわ〜お、嬉しすぎるコメントありがとうございますー！！もうすぐ続編に移行する予定ですのでどうぞよろしくお願いいたします！！！！ (2021年1月31日 20時) (レス) id: 3bacfd04fc (このIDを非表示/違反報告)
藍の華(プロフ) - え、神作発見!神作を発見し喜びのあまりコメントしてしまいまいた←めちゃくちゃ面白いです！ぜひこれからも更新を頑張ってくださーーーーい!!!!! (2021年1月31日 19時) (レス) id: b8ec5b9c75 (このIDを非表示/違反報告)
ﾜﾋﾞｯﾁ(プロフ) - かふぇもかさん» わ〜んありがとうございます〜！！！めちゃくちゃ嬉しいです！！！！ゆっくりにはなってしまいますが、どうぞお付き合いくださいませ (2021年1月30日 22時) (レス) id: 3bacfd04fc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ﾜﾋﾞｯﾁ | 作成日時：2021年1月5日 17時
