▽9 生徒会室 ページ9
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綾が、当たり前のように
光に満ちた生徒会室の中に入っていく。
ぼうっと立っているだけの瞳の背中を、ポンッと奏が押した。
急に奏が触れたことで肩が少しだけピクっと動いたのを見逃さなかった。
けれど瞳は、促されるままに扉の中へと足を進めてくれた。
が、一歩、中に入って。すぐにUターン。
「ちょいちょい。お嬢さん、ドコ行くんだよー」
「瞳ちゃん?」
奏と優斗の声に、振り向いてみると
瞳がUターンして扉の上に掲げてある
プレートの文字を確認していた。
そこに書かれているのは、もちろん“生徒会室”の文字。
「…ここはドコかしら?」
どうしても信じられないのだろう。
瞳は奏にいぶかしげな視線を送る。
「あ〜ん?書いてある通り“生徒会室”だけど〜?」
「この内装のどこが?」
「ウチのはこうなんだよね〜」
瞳と奏のやりとりに、優斗はクスクスと笑っている。
「あと生徒会室っていうのは生徒会のメンバーしか入れないよの?」
「そうだろうねぇ。だから入るんだよ〜」
「意味わかんなー「とりあえず入ればいいんだって〜」」
瞳の抗議の声を聞き入れることなく、奏がグイッと腕を引き
瞳は、再び生徒会室へと足を踏み入れた。
その瞬間、バタンと音を立てて閉められた扉。
おまけに鍵がでかチャリとかけられた。
転校してきて早々、瞳はツイてないと思う。
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作者名:雪姫乃 | 作者ホームページ:http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=season1999
作成日時:2017年10月10日 19時