きっかけは君やった

ほんま嫌 ページ1

◆黄


ここんところ、失敗が続いている。この前はスタッフさんの名前を間違えてしまった。その前は撮影の部屋を勘違いしてしまった。俺が先頭に立って移動してたから、メンバーの皆も困らせてしまった。

｢なんや、淳太くんらしないなぁ笑｣
｢俺らも淳太くんにいつも任せっきりなとこあるしええよええよ！スタッフさんらには皆で謝ろな！｣

皆はそう言ってくれたけど、申し訳なさでいっぱいで、なんだか相当疲れてしまった。悪いのは全部自分やのにね。


(俺がしっかりせんと、皆にも迷惑がかかるんや……しっかりせんと……。)
そう心の中で唱えることが多くなった。


でも、いくら気をつけてもダメやった。失敗ばっか。何でやろ？
(…もしかして、神さまが｢キミはアイドル向いてへんから辞め｣言うてんのかもな笑)
柄にもなくそんなことまで考えてしまった。
精神的にはかなり疲れていた。泣いてしまいそうな程。




やから、





｢じゅーんた！！！ふへっ｣




やから、なんやと思う。




｢…どしたん、しげ｣

意識して、絞り出すように答えた。俺に構わんとって、って。今疲れとんねん、ってオーラで。
でもあいつは気にせえへんねん。俺が悲しかろうが嬉しかろうが、俺にちょっかいかけてくんねん。

｢これやる！！！｣

グイグイと効果音がつきそうなほど強引に俺の手を開き、何かを握らせた。
手を開くとそこには、毛虫がおった。俺が特に苦手な長いやつ。



｢うわぁぁっっ！？！？！？！｣


手を開いた反動でか毛虫が少し動いているように見えて、ホンマにもうやめてくれ、やめろやしげ。俺今ホンマ疲れてんねん、……不安で押しつぶされそうやねん……



……ほんまに…。



｢アヒャアヒャ！！じゅんた反応ええなー！！！｣


楽しそうに、ガキみたいに笑うしげとは裏腹に、急な感情の高揚に俺はキャパオーバーやったみたいで。

ぽろっ、と涙が零れた。

俺のせい→

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