#50 ページ50
ジョシュアside
「や……やだなあ。ジュンフィ。僕だよ。ジス兄さんだよ。分かるでしょ?」
麻酔のせいで記憶がぼんやりとしているだけだと思っていた。
すぐに僕のことを思い出して「ジス兄さん」って呼んでくれると。
だけど、そうじゃなかった。
ジュンフィは、必死に思い出させようとする僕を怖がっていたのだ。
頭が真っ白になる。
それと同時に、僕の中の何かが崩れ落ちたような感覚がした。
こんなはずじゃなかった。
人間の姿を取り戻し、母に会いに行くはずだったのに。
こんなの……こんなのって……。
その場でうずくまり、頭を抱えて涙を流す僕に彼はそっと近づいて僕の頭を優しく撫でる。
「兄さん……」
その言葉を聞いた瞬間、僕はジュンフィを抱きしめた。
そうだ。僕の思い違いだったんだ。
ずっと僕はその言葉が聞きたかった。
「ジュンフィ……!」
ジュンフィの記憶は消えていない。
偶然だったけど僕は彼を人間に戻すことができたんだ。
喜びに身を震わせていると、ふと、視界の隅に
まさか……そんなはずない。
無意識に呼吸が荒くなり、心臓は今までにないくらい脈を打つ。
「そんな……嫌だ……」
視線を動かし、現実を目の当たりにして血の気が引いた。
ジュンフィの両脚がドラゴンに変化していたのだ。
278人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らららー(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!(*・ω・)ノ (2022年6月19日 18時) (レス) id: 26d6d8e78e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:菜々子 | 作成日時:2021年12月8日 13時