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ジョシュアside
ジュンフィを人間に戻すためなら、非道なこともいとわなかった。
彼の体を沢山傷つけた。
だけど、彼は1度も泣かなかったし全部受け入れてくれたのだ。
いくらドラゴンの治癒力が高いとはいえ、負担は大きかったに違いない。
彼にはもちろん痛覚はあったし、身体の変化に伴い五感が著しく発達したのか微かな物音や匂いにさえかなり敏感になっていた。
人間だった頃より、ストレスはかなりあっただろう。
だけど、アイツは僕に身体を預けてくれた。
だから僕は全力で彼と向き合い、治療に専念した。
こうしてまた、2年が過ぎてしまった。
なんの進捗もないまま、僕は無駄に労力を費やし続けている。
そんなこと思いたくなかった。
ジュンフィに捧げてきた僕の時間が否定されたようで。
だけど、実際そうだ。結果が出ていない。
さすがに焦りが出てきていた。
そんなある日。
「これかもしれない……」
相変わらず論文を読み漁っていた僕は、精神疾患の治療を目的とした手術があることを知った。
もし……人間がドラゴンになる病は精神から来るものだとしたら?
自分で考えていることは滅茶苦茶だ。
だけど、少しでも可能性があるならば試す価値はある。
この手術は「人間を壊す」と言われる、恐ろしいものだった。
「もう……後には退けない」
僕はこの手術をジュンフィに施すことを決めたのだ。
この時……少しでも思いとどまっていれば良かったのかもしれない。
そう。僕は、取り返しのつかないことをしてしまったんだ。
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らららー(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!(*・ω・)ノ (2022年6月19日 18時) (レス) id: 26d6d8e78e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菜々子 | 作成日時:2021年12月8日 13時