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こっそりと診療所の裏口から室内に入り、スンチョルさんがいるであろう待合室へと向かった。
相変わらず電気は最低限しかついておらず、薄暗い室内。
正規のルートから入っていない上に、ここがどこかなのかも記されていないため慎重に扉を開けて目的地を目指す。
とある一室の扉を開けると、書斎に入ってしまったようで引き返そうとしたが。
足元に1枚の写真が落ちていることに気づいた。
それを拾い上げ、棚の上に置いておこうと思ったが。
映っていた光景に思わず、小さく声がもれた。
「なんで……」
そこに映っていたのは、ジョシュアさんとジュンフィだったからだ。
どうやら親密な関係だったらしく、ジョシュアさんはジュンフィに微笑みかけ、頭を撫でている。
訳が分からない……。ここの所、戸惑いや混乱することが多くて、脳の処理が追いつかない。
あの時……。
ジュンフィをここに連れてきた時、ジョシュアさんは彼のことを知っているような様子は見せなかったし、ジュンフィもまた、ジョシュアさんのことは何も言わなかった。
ここで考えていたって仕方ない。
ひとつずつ、この疑問を晴らしていかなければ。
写真を手にしたまま、スンチョルさんのいる待合室には行かず、ジュンフィのいる病室を目指した。
ジュンフィの病室の扉を開けた瞬間、「やだー!」と彼の悲鳴が聞こえた。
ハッとして顔を上げると、ジュンフィに馬乗りになって注射器を彼の腕に刺そうとしている……奇妙なクチバシのついたマスクを被っている謎の人物がいたのだ。
「何やってるんですか!?」
わたしが叫ぶと、謎の人物はこちらを見た。
「鎮痛剤を打つだけだ」
その声はジョシュアさんだ。
でもなんでそんな不気味なマスクを被っているのだろう。
それより。
「ジュンフィが嫌がってますよ! 言い聞かせますので、まずは降りてください」
わたしはジュンフィの側に駆け寄る。
ジョシュアさんは彼から降りると、ジュンフィは涙目になりながらわたしに抱きついた。
「こわい〜……」
「怖かったね。大丈夫だよ」
この様子じゃジュンフィにジョシュアさんの事を訊くのは難しそうだ。
ひとまず、彼を落ち着かせなくちゃ。
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らららー(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!(*・ω・)ノ (2022年6月19日 18時) (レス) id: 26d6d8e78e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菜々子 | 作成日時:2021年12月8日 13時