ある日、ドラゴンになったウォヌくんと。 (ページ38)

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振り返ると、先程までいた場所からかなり遠く離れていた。

スンチョルさんは大丈夫なのかな……。

ほぼ初対面のわたしを信じてくれ、逃がしてくれた。

だけどそれは、国に対する反逆だ。

あの国でドラゴンは天災を起こす最悪な存在として知られている。

しかもあの人数、ウォヌくんを目撃されてしまった上に取り逃してしまったのだ。

彼が無事でいられる訳がない……。

｢……ウォヌくん｣

返事をするかのように、首を上げるウォヌくん。

｢ジュンフィをお医者さんに預けたら、さっきの所に……｣

｢全く。人の心配するよか、他に心配するとこがあるだろ｣

え？

聞き間違いでなければ、スンチョルさんの声がしたような……。

幻聴でも聞こえたのかと困惑していると、すぐ側で人の気配がした。

その方を見ると、驚いた。

｢コイツが俺の背中を鷲掴みにして連れて来たんだよ｣

肩を回しながらそう言うスンチョルさん。

あの時、警官たちとやり合っている時にウォヌくんは彼の背中を足の爪で引っかけて連れてきたのだそう。

｢スンチョルさん！無事だったんですね？｣

｢ああ。……ウォヌ、と言ったか。そのまま真っ直ぐ飛んでくれ。しばらくしたら開けた場所があるからそこに止まればもう病院だ｣

ウォヌくんは、それに応えるかのように飛ぶスピードを上げた。

しっかりと彼の背中にしがみつくわたしたち。

スンチョルさんは、ぐったりとしているジュンフィを見る。

「出血が酷いが、意識はあるようだな。よかった」

「あの……今から会いに行くお医者さんって……」

「ジョシュアだ。俺の国は医者が少ないから、たまに手伝いに来てもらっている。……まあ、初対面では愛想が悪いかもしれないが気を悪くしないでくれ。アイツは緊張しいなんだ」

ジョシュアさん……か。