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「なんの騒ぎだ」
その時、聞き覚えのある声が聞こえた。
人混みの間から、スンチョルさんが現れる。
「……これ」
そして、地面に落とした懐中時計を拾い上げ、裏面を見てから蓋を開ける。
スンチョルさんは少し目を大きくさせ、わたしを見た。
蓋の中はわたしは見たことがなかった。一体何が……。
「これはお前のか?」
「そうです……」
「そこのお前」
ジュンフィを羽交い締めにしている警官を見るスンチョルさん。
「ソイツを離せ。コイツらは遠い国の遣いの者だ。今後乱暴に扱うな」
そう言うと、スンチョルさんは懐中時計を周囲の警察たちに見せる。
瞬間、みんな驚いたような顔をして1歩引いた。
なにせ、それを見れば自国の人間は頭を下げざるを得ない威厳のある代物だ。
ここでも通用するんだ。
「君の物だろう」
スンチョルさんはそれを返してくれた。
蓋は被せられていたため、中身は分からなかった。
今度こそ無くさないようにリュックの内ポケットにしまった。
「そう。君たちに聞きたいことがあるんだ。そこの喫茶店で話をしよう」
年季の入った喫茶店は物静かなマスターと、数人の客がいた。
マスターはスンチョルさんを見るなり、愛想のいい笑顔を向ける。
「やあスンチョルくん。この前、屋根の修理をしてくれてありがとうね。お礼にコーヒーを奢らせてくれ。もちろん、お連れの方のもね」
「マスター。困った時はお互い様だから気を遣わなくていいよ」
「なあに。この間、トテの散歩もしてくれたじゃないか。礼をさせてくれ」
「……じゃあお言葉に甘えるよ。ありがとう」
警察が屋根の修理やペットの散歩をするものなの?
それとも、彼がお人好しなだけなのかな。
意外といい人なのかもしれないね。
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らららー(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!(*・ω・)ノ (2022年6月19日 18時) (レス) id: 26d6d8e78e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菜々子 | 作成日時:2021年12月8日 13時