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#15 ページ15

「……あっ」



目を覚ますと、わたしはウォヌくんの腕の中にいた。

真夜中の出発だったため、眠気に抗えず移動中に寝ていたんだった。



「おはよう、ウォヌくん」



寝ぼけ眼を擦りながら言うと、彼は頷く。

ここは洞窟の中らしく、わたしの声が周囲に響き渡る。



「寝なくて大丈夫?」



そう尋ねると、深く頷く彼。

洞窟の入口からは光が差し込んでいるけど、光源が足りない。

リュックからランタンと意思疎通のためのハングル表を取り出した。



《??》



ランタンを付けようとした時、ウォヌくんがハングル表を素早く指して話してくれた。

でも、暗闇のせいで何も分からない。



「ごめん……何も見えないんだ」



ランタンの明かりをつけ、改めて指してもらう。



《不眠》



なるほど。ドラゴンは寝なくて平気なんだ。



「ウォヌくん。指は動かせる?」



彼は鋭い爪の生えた指を曲げ伸ばしして見せる。



「ハングル表は便利だけど、いざと言う時不便だと思うんだ。手話、勉強してみない?」



リュックから持ってきた手話辞典を取り出し、基礎のページを開く。

数年前に、ボランティアとして聴覚に障がいを持つ子供たちと触れ合ったことがある。

その際に少しだけ手話に触れていたのだ。

まさかこんな時に役に立つことがあるとは……と思いながら、ひとつずつ丁寧に勉強していく。




「……よし。今日はここまでにしよう。ご飯買ってくるけど何か食べたいものはある?」



ドラゴンって何食べるんだろう。

お城いた時はわたしが食べるような、食事を運んでいたけど。



《肉》

「お肉? フライドチキンとか?」

《生でもいける》

「えっ。お腹壊しちゃうよ!?」

《ドラゴンの胃腸は人間より遥かに強い》

「……何か買ってくるね」



日が昇っているうちは、ウォヌくんは動けない。

財布だけ持って、洞窟の外へ出る。

外の明るさに目を眩ませながら、慎重に道を歩んで行った。

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らららー(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!(*・ω・)ノ (2022年6月19日 18時) (レス) id: 26d6d8e78e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:菜々子 | 作成日時:2021年12月8日 13時

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