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「ウォヌがドラゴンになってから、3年が経った」
国王様は静かに語り始めた。
3年前といえば、ウォヌくんが公園に来なくなってしまった時期と重なる。
「その間、ありとあらゆる手段を使い、ウォヌを人間に戻そうと努力した。しかし、どれも無駄だったのだ。……ずっと辛い思いをさせてしまった3年間も、あの狭い部屋に閉じ込めているのだ」
「国王様……」
愛するひとり息子が、不治の病にかかってしまい、何とかしようとするのは親なら当然のことだ。
でも、治療法は誰も知らない。
国王様の心労のことを思うと、胸が苦しくなる。
「君なら、ウォヌを助けてやれるか?」
真剣な眼差しを向ける国王様。
同じ気持ちだ。ウォヌくんを助けたい。
だから、迷わず頷いた。
「それなら、これを持って行くといい」
国王様は懐から懐中時計を取り出し、差し出した。
それは、国で1番偉いことを印すための貴重なもので、これを国民に見せれば皆が頭を下げると言われるほど圧のあるものだ。
「残念ながらこの国には治療法が無い。本来ならわたしが行くべきなのだが……行けないのだ。情けない事にわたしはもう長くない」
「そんな……。ウォヌくんには……!」
「ウォヌには何も言わないでくれ。その代わり、君たちがここを出ていく事を許す。どうか、最後にわたしの願いを叶えてくれないか」
国王様は深く頭を下げる。
イチ国民のために国王様がここまでするとは、恐れ多いことだ。
「必ずウォヌくんを人間にして戻ってきます」
はっきりと言い切った。
懐中時計を受け取る。
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らららー(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!(*・ω・)ノ (2022年6月19日 18時) (レス) id: 26d6d8e78e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菜々子 | 作成日時:2021年12月8日 13時