#12 ページ12
国で1番の書物が集まる場所といえば、すぐ側にあるじゃないか。
それは、わたしが今仕えているお城の地下にある多くの書物が眠る倉庫だ。
ウォヌくんが読書好きだったこともあって、世界中からあらゆる事に関する書物がここに集まっているんじゃないか、と考えた。
しかし、そこに辿りつくまでに少々監視の目を掻いくぐらなければならない、という問題がある。
なにせ、世界中から集まった貴重な資料や本などが保管されているのだ。
イチ従業員であるわたしが、簡単に入れるような場所ではない。
だけど……。
ウォヌくんをどうにか人間に戻してあげたい。
迷っている暇なんてなかった。
思い立ったが吉日。日付が変わり、城内の明かりが消えた頃。
わたしは忍び足で地下へと向かっていた。
明かりは最低限のロウソクだけで、細心の注意を払いながら。
当たり前だけど、誰もいない。
たったひとりで暗闇の中、頼りない小さな明かりを持って歩いていく。
道中、歴代の兵士たちが身にまとっていた鎧が飾られている場所を通らなければならなかった。
この鎧たちは、数々の戦を乗り越えてきた。
その証が鎧に深く刻まれており、魂が宿っているように感じる。
今にも動き出しそうだな……なんて嫌なことを考えつつ、歩みを進めた。
やっとの思いで地下へと到着した。
地下へと伸びる階段の先は、深い闇。
小さなロウソクの明かりを飲み込んでしまう。
行くしかない……。
そう歩みを進めた時だった。
「待ちたまえ」
すぐ背後で、聞き覚えのある声がした。
歩みを止め、おそるおそる振り返る。
「あ……国王、様……」
何故そこにいらっしゃるのだろう。
……こんな、泥棒のような真似をしてどんな罰が下されるのだろう。
ウォヌくんのことを言えば、分かってもらえるだろうか?
色んな言葉が頭に浮かんできて、何を言えばいいのか分からず、ただただ国王様を見つめることしかできなかった。
「Aさん、かね」
「は、はい……」
次に言われる言葉は何だろう。
心臓の鼓動が忙しなくなる。
「……ウォヌを、助けてくれるのか」
国王様はそう、静かにおっしゃった。
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らららー(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!(*・ω・)ノ (2022年6月19日 18時) (レス) id: 26d6d8e78e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菜々子 | 作成日時:2021年12月8日 13時