#1 ページ1
幼い頃、毎日話をして過ごしていた男の子がいた。
丸眼鏡をかけ、木の陰で分厚い本を読んでいる、物静かな子だった。
その子の名前はウォヌくん。
内向的なわたしは、よく近所の男の子や女の子にいじめられてばかりだった。
彼と初めて出会った日も、公園で数人の男の子にいじめられていた。
私物の筆箱を取り上げられ、頭上でキャッチボールをされて困っていた時。
「やめなよ」
突然彼がやってきて、筆箱を奪い返してくれた。
男の子たちはバツが悪そうな顔をして、どこかに逃げて行った。
それをきっかけに、わたしは毎日公園に通い、彼に会いに行くようにになったのだ。
彼は読書が好きだったから、隣に座ってわたしも本を読んだ。
長時間、字を読むのは苦手だったけど……いつの間にか苦痛に感じなくなった。
一緒にいるのに、お互い会話を交わすことなく、日が暮れそうになったら。
「またね」
彼がそう言って、お互いの家に帰る。
会話は些細なものしかなかったけど、それでもわたしにとっては幸せな時間だった。
そんなある日。
「面白い話があるんだ。聞いてくれる?」
初めて彼が話を切り出してくれた。
嬉しさを押し込んで、力強く頷いた。
彼が話してくれたのは、とある伝説だった。
人がドラゴンになってしまう、不治の病があるという話だ。
原因は分からないけど、人間が突然巨大なドラゴンに変化してしまう。
また、ドラゴンの肉を食べると不老不死になると言われ、見つかると殺されてしまうということも。
不思議な話だと思った。
人間がドラゴンになってしまうなんて……。
278人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らららー(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!(*・ω・)ノ (2022年6月19日 18時) (レス) id: 26d6d8e78e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:菜々子 | 作成日時:2021年12月8日 13時