黒いお話。【WT】 (ページ1)

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1.まいく。ページ1

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私は、A。画面の向こうの、ワイテルズのきんときを推していたただの一般人。

目が覚めたら、全く知らない部屋。真っ暗で何も見えない。ここはどこ？と思う間もなく手足の違和感に気付く。足枷と手枷がしてある。段々目が慣れてくると、壁には私の写真がびっしり貼られているのが見える。イベントの時で痛バを担いでいる時もあれば、ただカフェでのんびり過ごしている写真もある。あれ、なんであんな昔の…初めて作った痛バを掲げている写真があるのだろう……？

「あ、や〜っと目覚めたんだね？お寝坊さん」

背後から迫ってくる影に気付かず、声をかけられた途端後退りしてしまう。しかし、すぐ声の違和感に気付く。毎日聞いている声。あなたは……？

『…っ…！っ〜！』

声が出ない。口にガムテープらしきものが貼られているらしい。謎の人物の手が近付いてくる。それから逃げようと下がろうとするも、背後が壁でそれ以上後ずされる訳もなく壁にぶつかり、さらに追い込まれる。かなり恐怖を感じて涙目になってしまう。

「逃げれないよね？怖い？怖い？まぁでも……普段から俺の声聞いてるAなら、怖がる訳ないよねぇ？」

最初に聞いた違和感は、やはり間違いじゃなかった。貴方は……きんとき。

「でも、俺だからって油断しちゃダメだよ？壁に貼ってある写真見たでしょ？……俺、Aのこと、大好きなんだよね。壊しちゃいそうなぐらい、好きなの。だから……全部、受け止めてね？」

あんなに推していたのに、あんなに好きだったのに、いざ目の前でこんなことを言われると恐怖で何も出来なくなる。つー、と頬を通った涙を、きんときの手で拭われる。少しゾワゾワして、不快な気分になる。そしてその手のまま、徐ろに首の根元に人差し指と親指の側面を添わせる。

「俺、手加減できないんだよね。苦しいかもしれないけど、我慢してね？」

そう、ニヤッと笑った途端、息がしずらくなる。頭が段々ふわふわしてきて、なんにも考えられなくなる。もう、むりかも

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「あーあ、また寝ちゃった。でも、しょうがないからね？」

意識がなくなったのを確認し、抱っこしてベットに移動させる。やっと、やっとAとセックスができる……。ここまで来るのに、何年かかったか。俺がまだ有名じゃない、あの頃。小さな俺の痛バを掲げてくれていた可愛い女の子。一目惚れした女が、目の前にいる。本当に今でもずっと可愛い。本当にこの何年間、A以外の女には目もくれていない。

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