死亡者リスト (ページ4)

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死亡者リスト1ページ目：滝沢信也ページ4

「はぁ…」

《オニーサン！》

後ろから肩を叩かれれば聞いたことない声にそう声を掛けられて俺は誰だろうと思いながら振り返った。
するとそこに居たのは全身に黒を取り繕った少年だった。
顔はフードを深々と被っている為、あまり見えないが見える所だけでも見るとかなりの美形だろう。
何故、そんな少年が自分に話し掛けてくるのか分からず俺は少し怪訝そうな顔をした。

『そんな顔しないで！俺はオニーサンとお話したいだけなんだからさ！』
「何で初対面の俺となんですか？」

俺がそう言うと少年は少し戸惑った顔をした。

『それはー…まぁ、何でもいいじゃん！』

最初の言葉から少し間を開けてそう言った少年を見て俺は更に機嫌を悪くした。
そんな俺を他所に少年は何かに気付いたような顔をすると口を開いた。

『あっ、ちゃんと前見ないと危ないぜ？』
「なっ…？」

少年が口を開きそう言った瞬間、急に足場が無くなり俺の体は前に傾いた。
急な事に俺は驚いた。
俺の体が着いた地面はガタガタで坂のようになっていた。
落ちていく度に体を襲う痛みに俺は呻き声を漏らした。
どうやら俺は少年ばかりに気が行っていて階段が目の前にある事に気付かず落下してしまったらしい。

「っ……」
『あーあ…だから言ったのに、ちゃんと前を見ないと危ないって』

少年は階段を降りてくると焦りもせずに俺を見下ろしてはニヤリと笑ってそう言った。
横からだと見えなかった少年の顔が下からだと良く見えた。
やはり綺麗な顔立ちをしていた。
そして俺はボヤけてきた視界で少年を見つめたまま口角を少しだけ上げた。

あぁ…俺……死ぬのかな…

ふと、俺はそう思った。だけど別に悲しくなんて無かった。
普通なら“死にたくない”なんて思うんだろうけど不思議とそんな気持ちは無かった。
それとは反対に

これで死ねるならもういいや…

とまで思ってしまった。
少年は何も言わない俺を見てはつまらなそうな顔をした。

『あーあ！つまんねぇの！何全部諦めたような顔してんの？死にたくないとか思わないわけ？』
「…死ぬ、なら…もう俺は…それ、でいい……」

俺は思った事をそのまま伝えた。
すると、少年は表情を怒りへと染めた。

『は？何甘ったれた事言ってんの？？簡単に死なせるわけないじゃん』
「ぇ…？」

俺は驚いた。
何故、こんなにも怒っているのか理解が出来なかった。
だけど少年が悲しそうな顔をしている様にも見えて何も言えなかった。
俺はただ少年の顔を見ていた。