√D! (ページ2)

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コレクション-黄緑ページ2

「あ、」

そう、小さく声が洩れてハッとする。誰かに聞かれていないかと辺りを見回して、どうやら疑問に思われていないようだとホッとする。
休み時間、他クラスに用事があり向かっていると、運良くAさんを見かけることができた。
彼女を見ていると、脳が溶ける。
友達であろう人と喋りながら廊下を歩いていくAさん。
移動教室やろか。あっちは音楽室やな。

「ええなあ。俺も同じクラスやったら……」

見えなくなるまでぼうっと突っ立って、叶いもしない妄想に思いを馳せる。他クラスでの用事を思い出して、ドアに手をかけた。
移動教室やからだぁれも居らへん教室

Aさんの席に座り、机に寝そべる。

「………うあー」

さっきまで座っていたのだろうか。体温が少し残っている。
机の横に掛けてあるリュックの中を漁り、弁当箱を取り出した。
蓋を開けて、空になった弁当箱をじっと見る。それから、米粒一つ残っていないそれに舌を這わせた。

「これもええなァ」

無理矢理Aさんに貸して着てもらった体操服を嗅ぐのもいいけど、弁当箱舐めるんもええな。間接キスや。

「さて」

中に入っていた箸を袋に入れ、教室を出る。

「休憩時間終わってまうわ」

もう人気の無くなった廊下を歩き始めた。