沈厶少女 (ページ10) - 小説/夢小説

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沈厶　Ⅵ ページ10

月島side

目の前の人物に目を疑った
だって、僕が保護したのは五年前、全ての人の前から消えてしまったふわりさんだったから

『久しぶり…だね。月島』

「お、お久しぶりデス…」

"月島" 前は名前で呼んでくれていた
少しだけ寂しい気持ちになった

「あ、あの…」

『…ん？何…？』

「あ、えっと…」

何を言えばいいのか分からなかった。誰かに連絡をした方がいいのか。どうすればいいのか

昔ならすんなり言葉が出ただろうが今は全然言葉が出ない。
多分今僕の目の前にいるふわりさんは昔の、僕達が知ってるふわりさんじゃないと思ったからだ

『…とりあえず、お風呂、ありがとう』

「あ、イエ……」

『ねぇ…月島。悪い、だけど…暫く泊めてくれない……？』

「え？」

吃驚した。目の前の相手はダメ？と首を捻っている

「あ、ハイ。良いですよ」

あれだけ何も言えなかったのに今度はすんなり言葉が出た、なんか悔しい
ていうか言葉が出るとこ違うだろ、と自分で突っ込んだ

『ありがとう』

何か、話し方も変わったなって思った
雰囲気も全部違った

彼女はキョロキョロと部屋を見回していた

誰かに連絡をしようかと迷ったがやめた
誰かに知られた。
それだけでふわりさんはまた消えてしまいそうだったから。
何故か、儚い気がしたから

こうして、僕と彼女の秘密の生活が始まった。