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_+第48話+_ ページ49

Aside


気づいたら、動き出していた。






転げ落ちるようにベッドから出て、重い体を引き摺って歩く。






「………帰らなきゃ。」






兄はどんな気持ちであれを書いたのだろう。






見つかったら自分も危うくなるかもしれない状況で、危険を冒して私に手紙を送って。







頭の痛みや目に溜まる涙から意識を逸らすように、唇を噛む。







血が滲むのもそっちのけで、たどり着いた部屋の扉を開けた。









元々量の無い荷物を詰め込んで、急いで身支度を整える。






衣類や小物、ついさっき受け取った手紙……






そして、途中で開けた机の引き出しに動きを止める。







中に入っているのは、オビさんから貰った、耳飾り。






それを見た瞬間、今までのことが頭に浮かんできて。







たくさん迷惑をかけて、何度も助けてもらった。






まだ、言えてないお礼や謝罪があって。






でも─────







『利用していた』とイザナ殿下は、確かにそう言っていた。






傍から見れば、そうだったのかもしれない。






もしかしたら私は、オビさんがゼン殿下の側近だと知ってからは、"そういう見方"をしていたかもしれない。







そう思うと、もう、彼に合わせる顔もなくて。









「…っごめん、なさい。」







勝手に姿を消すことを、どうか許してください。








耳飾りを布に包んで鞄にしまって、それほど重くもない荷物とともに私は部屋を出る。







そのまま、外に繋がれている馬へと歩みを進めた。







月の綺麗な、夜だった。

_+作者より+_→←_+第47話+_


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+紺+(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます*_ _)更新は相変わらず亀ですが、最後までお付き合いしていただけると有難いです! (2019年6月15日 0時) (レス) id: 09acaf470e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とても面白いです〜!無理しない程度に更新頑張ってください(*´∀`)♪続編楽しみにしてます! (2019年6月12日 19時) (レス) id: 9aedb32105 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桐ノ葉 | 作成日時:2015年9月21日 22時

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