_+第47話+_ ページ48
Aside
その人は白雪さんというらしく、私の名前も既に知っているようだった。
そして、私の視線に気づいたのか、彼女は小さく笑う。
「珍しいですよね、この髪。」
生まれつきなんです、と髪をつまみあげている。
聞きたいことは沢山あったのに、口から出てきたのは、
「…すごく、綺麗ですね。」
そんな、ありふれた感想。
「ありがとうございます!」
屈託の無い笑顔に、胸が苦しくなった。
少し眠りたいというと、彼女は優しい言葉をかけて扉の向こうへと消えていった。
布団を頭まで被って、きつく目を閉じた。
"なんで貴方は幸せそうなの"
そう考えてしまう自分が、酷く醜く感じられて。
どうしようもない自己嫌悪が、頭痛と一緒になって私を襲っていた。
閉じていた瞼の裏に、わずかに明かりがさした気がして目を開けた。
「……あぁ、起こしたか。」
「………っ!?…なぜ、ここに、」
はっきりとしない頭で、目の前の人物を見つめた。
「体調を崩したと聞いたからな。ここ数日部屋に来ていなかったのはそういう事だったか。」
「………いつもは会って頂けないのに、こういう時は貴方からいらっしゃるのですね。
────────イザナ殿下。」
嫌味を込めた言葉は、小さく笑って流されてしまった。
横になったままでいい、とは言われたものの、流石に殿下の前だからと、壁に寄りかかるようにして体を起こした。
「……ただ見舞いにいらっしゃった訳では無いのでしょう?」
「それでも良かったんだが……こんな知らせが届いてな。ついでに持ってきたというところだ。」
「……知らせ?」
差し出されたのは、簡素な手紙。
宛名も書いてないそれを受け取ると、イザナ殿下は私に背を向ける。
「ここから先は貴方の判断で動くといい。…あぁ、それと――
ゼンと周りの者を利用しようとしていたようだが、それでは俺は動かない。」
「?………どういう、」
ことなのか、と聞く前に、殿下は去っていった。
そして仕方なく、手元にあるそれを、開けた。
「……………嘘、」
『A、お前がいないことが相手に知られた。
父上と母上が、相手の手にかかった。』
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+紺+(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます*_ _)更新は相変わらず亀ですが、最後までお付き合いしていただけると有難いです! (2019年6月15日 0時) (レス) id: 09acaf470e (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - とても面白いです〜!無理しない程度に更新頑張ってください(*´∀`)♪続編楽しみにしてます! (2019年6月12日 19時) (レス) id: 9aedb32105 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桐ノ葉 | 作成日時:2015年9月21日 22時