_+第32話+_ ページ33
Aside
「……勘弁してよ。」
額に手を当ててため息をつく様子に、気に障ることを言ってしまったのかと心配になる。
「あ、あの…」
声をかけようとすると、肩に重みを感じた。
少し遅れて、オビさんが私の肩に額を当てているのだとわかった。
「っ…!?」
いきなりの行動に、頭も言葉も追いつかない。
ただ、心臓だけが煩く鳴っている。
「あんた、かっこいいな。」
オビさんの声は笑っている。
その声に、怒っているわけじゃないのだと安心できた。
微かに触れる髪がくすぐったくて、でも何だか心地よい。
とはいえ、やっぱりこの状況は……
「今は、絶対に顔あげないでください…」
「ふっ、何それ、どういう意味?」
言ったそばから顔を上げるオビさん。
「……ぶはっ、A嬢、顔真っ赤。」
「…っだから、誰のせいですか!」
堪えきれない、といったように笑う彼。
その横で、両手で顔を挟んで熱を逃がそうとする私。
こんな何気ない時間が、やっぱり1番安心すると、再確認した。
オビside
「はー……」
A嬢と別れて、角を曲がってすぐ、溜め込んでいた息を吐き出す。
さっきの言葉が、今でも頭に残っている。
『何かを守るために行動できる人は、優しい人ですよ。』
いつもはどこか抜けてて、こっちが不安になるくらい危なっかしいときさえあるのに。
頼りないはずの彼女は、今日は全然そんなことは無かった。
真っ直ぐ向けられる目は、俺の生き方なんかじゃなくて俺自身を見ていた。
…あんなふうに言われるとはね。
「まったく…不思議だよ、あの人は。」
無意識に、口角が上がっていた。
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+紺+(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます*_ _)更新は相変わらず亀ですが、最後までお付き合いしていただけると有難いです! (2019年6月15日 0時) (レス) id: 09acaf470e (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - とても面白いです〜!無理しない程度に更新頑張ってください(*´∀`)♪続編楽しみにしてます! (2019年6月12日 19時) (レス) id: 9aedb32105 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桐ノ葉 | 作成日時:2015年9月21日 22時