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_+第30話+_ ページ31

オビside


3人と別れて自分の部屋に向かう。






服が血まみれだから、早く着替えたくて自然と急ぎ足になる。






歩いていると、微かによく聞いたことのある声が聞こえた気がした。





「…お願いします!」





やっぱり。




廊下に立つ衛兵に頭を下げている彼女は、紛れもなくA嬢だ。






しばらくぼーっと見ていると衛兵に何かを言われてこちらに向かって歩いてきた。






暗くてよく見えないが、かなり落ち込んでいるように見える。






ふと、彼女が顔を上げて、バッチリ目が合う。





「オビさん…?」




「やっほー。A嬢。」




小さく手を振るとこちらに向かって小走りで駆け寄る。




「……どうしたんですか!?こんなに血が……手当しないと…!」




近寄ってから服の血に気づいたらしく心配そうな顔を向ける。




「……俺のじゃないよ、この血。だから大丈夫。」



「え…?」





今、俺はどんな顔をしているんだろうか。






驚いているA嬢の顔を見ていられなくて、話を変えた。




「それより、A嬢こそこんな時間にどうしたんだい?」




聞かれると思ってなかったのか、え、と動きを止める彼女。






「歩いてたんです、眠れないので…」




そう言って、また(・・)、目を逸らした。






彼女は、自分が衛兵と話しているのを俺が見ていなかったと思っているらしい。





「……さっきなんで、」




衛兵と話してたの、と聞こうとしたが、彼女を困らせてしまう気がして、続く言葉が出てこなかった。






「なんですか?オビさん。」



「あー……ごめん、言いたいこと忘れちゃった。」



「え!そんなのさらに気になっちゃいますよ。」





くすくすと小さく笑う彼女は、いつも通りに戻っていた。






そして、窓から外を見ると慌てたように言った。



「もう、夜も遅いですし、そろそろ行きますね。おやすみなさい。」





俺がおやすみ、と笑うと何か急いでいるかのように去っていった。







部屋へ向かう俺の足は、心做しか軽くなっていた。

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+紺+(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます*_ _)更新は相変わらず亀ですが、最後までお付き合いしていただけると有難いです! (2019年6月15日 0時) (レス) id: 09acaf470e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とても面白いです〜!無理しない程度に更新頑張ってください(*´∀`)♪続編楽しみにしてます! (2019年6月12日 19時) (レス) id: 9aedb32105 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桐ノ葉 | 作成日時:2015年9月21日 22時

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