検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:166,768 hit

_+第20話+_ ページ21

Aside


小さい頃は、城の書庫がありえないくらい広く見えて、迷い込んでしまうような気がして、少し怖かった。





けれど、それよりも、知らない世界に胸が高鳴ったのを覚えている。





成長してから改めて自分の城の書庫を見ると、あまり大きくはなかった。






だから、2倍近くあるここに居ると幼い頃に戻ったような、懐かしい気持ちになった。





「…じゃあ、ゆっくり片付けるかい?」





隣を見ると優しく笑ってるオビさんがいて、自然と頬が緩むのがわかる。




「はい!…ありがとうございます。」




彼の気遣いで、心が暖かくなったのを感じた。









背表紙を指でなぞりながら一つ一つ題名を読み上げていく。




「『ハブォルの翼』、『アズヴェルドと龍』…聞いたことない本ばかりだなぁ。」





歴史ある書庫なのだろう、古い本が沢山あるように感じる。






私が特に好きなのは、ファンタジー要素がある物語なので、今はそういうジャンルの棚を見ている。






その中に、知ってる本を見つけて私は立ち止まる。





懐かしいな…小さい頃によく読んでいたっけ。





内容は、1人の女性のありきたりな恋愛を描いたものだったけど、あの時の私はこの本が大好きだった。





なんて考えてからふと気づく。





この本はジャンルが違うな…





恋愛の本の棚を探すと、すぐ横の棚だったのでそこにしまおうとする。






が、最上段以外はギッチリ本が収められていて入れる隙は無いようだった。



「よいしょ、っと……」



仕方なく最上段に手を伸ばすもなかなか届かない。




指で押しながら何とか入れようとするが上手く入らず、指が震える。



「んんーっ……あとちょっと…」



…そろそろ、つま先立ちしてる足が痛い。






なんて思っていると。





パシ




後ろから手が伸びてきて、本は綺麗に棚に収まった。




「そろそろ俺に頼るの覚えてくれないかい?A嬢。」




呆れたような声が耳のすぐ近くで聞こえて、背中に触れているのがオビさんだと分かった。






思わず声が上擦ってしまう。




「、すみません!あ、私、ちょっと向こう行ってみますね!」




慌てて離れて逃げるように違う棚に行く。






少し触れた手が熱を持ってる気がする。



本を運んでいる時といい、今といい、





「っ、近いんだって…」




今の私は、林檎に負けないくらい真っ赤に違いない。



恥ずかしさに、その場にしゃがみこんでしまった。

_+第21話+_→←_+第19話+_


ラッキーナンバー

8

ラッキーアルファベット

X


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (73 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
161人がお気に入り
設定タグ:赤髪の白雪姫 , オビ , 桐ノ葉
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

+紺+(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます*_ _)更新は相変わらず亀ですが、最後までお付き合いしていただけると有難いです! (2019年6月15日 0時) (レス) id: 09acaf470e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とても面白いです〜!無理しない程度に更新頑張ってください(*´∀`)♪続編楽しみにしてます! (2019年6月12日 19時) (レス) id: 9aedb32105 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:桐ノ葉 | 作成日時:2015年9月21日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。