_+第92話+_ ページ44
Aside
とうとう涙腺が壊れてしまったのか、止まらなくなった涙。
それを拭うことも忘れて、存在を確かめるように、オビさんに回した腕に力を入れる。
｢……ごめん、なさ……っ、本当に…｣
｢A嬢は悪くないでしょ。｣
ふ、と耳元で聞こえる笑い声に安心感が広がっていく。
勝手に突き放したくせに、結局迷惑をかけてしまった。
私が悪いに決まっているのに、相変わらずオビさんは優しくて。
更に涙が溢れそうになっていると、真剣な声が耳に届く。
｢…A嬢、このままでいいから聞いて。｣
｢…？｣
｢…命を賭けるって言ったのは嘘じゃないけど、俺はそんな簡単には死なないよ。｣
死んだら主に怒られるしね、なんてオビさんは笑った。
｢だから、俺のために会わないことを決めたんだとしたら、その約束は聞けない。｣
あぁ、もう全部わかっていたのか。
本当に、この人には敵わない。
胸の辺りが暖かくなるのを感じながら、続く言葉に耳を傾ける。
一拍置いて、オビさんが再び口を開いた。
｢────好きだよ、A嬢。……あんたのそばに居させてよ。｣
｢……………え、？｣
思わず腕を解けば、真っ直ぐに私を見るオビさんと目が合った。
好き、って……
｢、………！？｣
｢ふ、…………泣きすぎ。｣
パニックになる私を他所に、彼は私の頬にある涙の跡を指で優しく拭う。
｢…一応言っとくけど、友人としてじゃないよ。｣
その言葉が意味することなんて、一つしかない。
未だに混乱している頭。
なんで私なんかを、とか、いつから？とか、色々な疑問が頭に過っては消えていく。
───それでも確かなのは、どんなに消そうとしても、忘れようとしても出来なかった、彼への想いだった。
｢……会えないのが、辛くて、寂しかった。｣
｢…うん。｣
｢オビさんがいないと、全然駄目なんです、私。｣
散々泣いた癖に、私の涙はまだ枯れない。
じわりと浮かんだ涙が溢れる前に、言葉を紡ぐ。
｢…っ私も、好きです。オビさんが大好き、｣
言い終わる前に、ぐっ、と引き寄せられて、痛いくらいに抱き締められた。
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桐ノ葉(プロフ) - イヴさん» コメントありがとうございます(*_ _)そう言っていただいて嬉しい限りです…！初めての作品だったので拙い文章だったと思いますが、楽しんでいただけたのなら幸いです！ (2019年11月28日 21時) (
レス) id: 09acaf470e (このIDを非表示/違反報告)
イヴ - キュンキュンがとまらない、、、!とてもよい作品ですね! (2019年11月28日 19時) (レス) id: 7c0d35bb59 (このIDを非表示/違反報告)
白銀水龍(プロフ) - ありがとうございます！ (2019年11月22日 17時) (レス) id: 724789ecd5 (このIDを非表示/違反報告)
桐ノ葉(プロフ) - 白銀水龍さん» 居眠りをする様子のことを"船を漕ぐ"という言い方をするのですが、紛らわしいので変えておきますね！コメント有難うございます！ (2019年11月21日 18時) (レス) id: 09acaf470e (このIDを非表示/違反報告)
白銀水龍(プロフ) - 水を注ぐが船を漕ぐになっています。 (2019年11月21日 17時) (レス) id: 724789ecd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桐ノ葉 | 作成日時：2019年6月16日 13時
