_+第87話+_ ページ39
Aside
ﾋﾟｭｲｲｯ
笛の音が辺りに響いて、青い翼が空を舞う。
今日は特に天気がいいこともあり、光が反射してきらきらと輝いている。
｢……綺麗、｣
ぽつり、と零れた言葉に、キハルという名の鳥使いは嬉しそうに笑った。
｢ゼン殿下と、殿下のご友人のお陰でこの子達を救うことが出来たんです。｣
｢そうなんですね、それは良かった…｣
｢ビブリア王国のお役に立てるのなら光栄です！｣
聞けば、この国の事を噂で耳にして、自分達と似た境遇に、力になりたいと思っていてくれたらしい。
歳はそんなに変わらないだろうに、この人は私より何倍もしっかりしている。
｢凄いなぁ……｣
｢え？｣
｢あ、いや………キハルどのは、お強いんですね。｣
｢？｣
それに比べて私は、一本の綱の上でぐらぐら揺れているみたいに、気持ちを定められない。
もう封じ込めたはずの気持ちが、彼を見たら再び湧き上がってきてしまった。
そばに居たくて、居てほしくても、それを決して口に出してはいけない。
思っては、いけないのだ。
｢───────……｣
この滲む涙を、眩しい太陽のせいに出来ないだろうか。
この想いを、あの鳥が風と共に運んでいってはくれないだろうか。
一通り飛ぶ様子を見せて貰って、もう戻っていいと兄に告げられた。
兄はまだゼン殿下と話すようで、中に入る様子はない。
…今日はもう、すぐに部屋に戻ろう。
このままここに居続けては、きっと私は諦めきれなくなってしまう。
そう思って、城の中へと続く扉に手をかけた。
ﾊﾟｼｯ
足を踏み入れようとすると同時に、誰かに手首を掴まれる。
｢……っ、｣
その手に、ピタリと動きを止めた私。
ドクン、と心臓がうるさく音を立てる。
ドアの取っ手を掴む手に、自然と力が入った。
｢離して、頂けませんか。中に戻りたくて…｣
｢……………｣
後ろに誰がいるかは、分かっている。
だからこそ振り返ることが出来ないし、振り返りたくないのだ。
｢…話があるんだけど。｣
｢、………｣
あの時と同じ、真剣な声。
無視することなんて出来なくて。
小さく深呼吸をして、ゆっくりと後ろを振り向いた。
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桐ノ葉(プロフ) - イヴさん» コメントありがとうございます(*_ _)そう言っていただいて嬉しい限りです…！初めての作品だったので拙い文章だったと思いますが、楽しんでいただけたのなら幸いです！ (2019年11月28日 21時) (
レス) id: 09acaf470e (このIDを非表示/違反報告)
イヴ - キュンキュンがとまらない、、、!とてもよい作品ですね! (2019年11月28日 19時) (レス) id: 7c0d35bb59 (このIDを非表示/違反報告)
白銀水龍(プロフ) - ありがとうございます！ (2019年11月22日 17時) (レス) id: 724789ecd5 (このIDを非表示/違反報告)
桐ノ葉(プロフ) - 白銀水龍さん» 居眠りをする様子のことを"船を漕ぐ"という言い方をするのですが、紛らわしいので変えておきますね！コメント有難うございます！ (2019年11月21日 18時) (レス) id: 09acaf470e (このIDを非表示/違反報告)
白銀水龍(プロフ) - 水を注ぐが船を漕ぐになっています。 (2019年11月21日 17時) (レス) id: 724789ecd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桐ノ葉 | 作成日時：2019年6月16日 13時
