_+第84話+_ ページ36
Aside
アリス城ではかなりの頻度で行われる、王城解放。
今日は、まさにその日だ。
そして、リュカ王国の支配から解放されてから初めて、国民と顔を合わせる日でもある。
｢A王女、貴方の勇敢な行動で皆が救われました。本当にありがとうございました。｣
｢ご病気の中、闘い抜いたと伺いました。貴方は我らの誇りです。｣
ゼン殿下の計らいか、国民は私が助けを呼んできたと思っているようだった。
｢いえ、皆が頑張ったからこその結果ですよ。｣
久しぶりに賑わう城内は、ボロボロだった私には丁度良かった。
仕事にばかり打ち込むようになった私を、兄も少なからず心配していたようで。
｢Aは王城解放日はいつも嬉しそうだからな。最近は頑張りすぎだったし、今日は息抜きするといい。｣
｢ありがとうございます、お兄様。｣
兄には王子としてやることが多いようだけれど、反対に王女の私にはいつも特に仕事はない。
城内の舞台での発表を見たり、子供たちと触れ合ったりと、いつもは楽しくて仕方がないはずの今日。
…だけれど、何を見ても、上手く気分が上がらない。
気づけば、結局人通りのない場所で座り込んでいた。
膝を抱えて顔を埋める。
｢…………………｣
無意識に、手は耳元に伸びる。
冷たい感触に心が落ち着く気がした。
オビさんから貰った耳飾りは、今までは無くすのが嫌で付けていなかった。
でも、隣に彼が居なくなってからは。
寂しくて、悲しい気持ちを埋めるみたいに、毎日付けるのが当たり前になっていた。
彼への気持ちに気づいた今は、前よりも離れているのが辛いようだ。
会いに来ないで、と言ったのは自分なのに、そのうちふらりと現れるんじゃないかと、期待してしまう。
｢っ、最低だ、私………｣
傷つけたくなくて距離を置いたのに、それを今になって後悔している。
オビさんに、会いたくて堪らない。
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桐ノ葉(プロフ) - イヴさん» コメントありがとうございます(*_ _)そう言っていただいて嬉しい限りです…！初めての作品だったので拙い文章だったと思いますが、楽しんでいただけたのなら幸いです！ (2019年11月28日 21時) (
レス) id: 09acaf470e (このIDを非表示/違反報告)
イヴ - キュンキュンがとまらない、、、!とてもよい作品ですね! (2019年11月28日 19時) (レス) id: 7c0d35bb59 (このIDを非表示/違反報告)
白銀水龍(プロフ) - ありがとうございます！ (2019年11月22日 17時) (レス) id: 724789ecd5 (このIDを非表示/違反報告)
桐ノ葉(プロフ) - 白銀水龍さん» 居眠りをする様子のことを"船を漕ぐ"という言い方をするのですが、紛らわしいので変えておきますね！コメント有難うございます！ (2019年11月21日 18時) (レス) id: 09acaf470e (このIDを非表示/違反報告)
白銀水龍(プロフ) - 水を注ぐが船を漕ぐになっています。 (2019年11月21日 17時) (レス) id: 724789ecd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桐ノ葉 | 作成日時：2019年6月16日 13時
